アイドル・カルチャーが生み出した鬼っ子、あるいは突然変異とでも言うべきか。とにもかくにも鮮烈な印象を残したデビュー曲“Will♡You♡Marry♡Me?”から早10か月。清 竜人25がファースト・アルバム『PROPOSE』を完成させた。清 竜人と6人の夫人たちがひたすらテンション高くシアトリカルに振る舞う、愛と狂気とユーモアに満ち満ちた濃度の高い作品に仕上がっている。
「ライヴとMVはいちばんに考えます。作曲よりも先にイメージを作って、そのテーマから楽曲を作ることのほうが多いかもしれないです。もうひとつ言うと、MVでここが抜かれやすいだろうなっていうメンバーの歌の割り振りも、なんとなく平等になるように考えています」(清 竜人)。
そう語られるように、本作では、音を聴くだけでも清夫妻たちが戯れるミュージカルのような光景が自然と目に浮かぶ、13篇の物語が紡がれている。構想はガチガチにコンセプチュアルで緻密な作りをしているが、その一方である種のラフさや軽やかさも感じさせるのがこのアルバムを名作たらしめているのではないかと思う。
「清竜人25というプロット自体がひとつの作品という感覚があるので、その作品からアルバムが出るというイメージなんです。変な言い方ですけど、(アルバムは)息子の息子というような感覚なんですよね。だから手をかけすぎるのもダメというのがあって。ある程度まっとうな人間なら、どういう性格でもいいみたいな感じ。プロとして世の中に出すものである程度の品質を保っていれば、〈25〉のコンセプトを自然により良く見せるものになるとは思っています」(竜人)。
「竜人君からは、歌とかダンスの上手さって求められてないと思うんですよ。だったら、グループの楽しさとか多幸感を伝える努力をしようかなと思いました」(清 桃花)。
また、このユニットでは清竜人みずからは編曲せずに、ダンス☆マンをはじめ、Tom-H@ck、武藤星児、MOSAIC.WAVといった具合にハロー!プロジェクト~AKB~アキバ系を結び付けるようにアレンジャーが参加しているのもポイントと言えそうだ。
「アレンジの節々に自分のテイストが出ちゃうのはアイドル・グループだと邪魔かなと思うので。メロディーと歌詞がしっかりしていれば、いろんな人にアレンジしてもらったほうが通して聴きやすいかなと」(竜人)。
さらに、夫人にもアルバムの聴きどころを訊ねると……。
「“誓いのワルツ”で台詞を言うところがあって。あれは言ってて恥ずかしくなりました。あと“やっぱりWifeがNo.1♪”でBメロのところの歌詞だけ届いて、歌い方もわからないのに〈ラップ調でやって〉ってメールがきたんです」(清 美咲)。
「あれ超イヤだったね!」(桃花)。
「すごく。あと“プリ~ズ…マイ…ダ~リン♡”で自分からああいう可愛い声が出てくるとは思わなかったです。改めて自分で聴くと恥ずかしくなりました」(美咲)。
とのことで……恥じらいを楽しむことにしましょう! さて、作品ごとに表情を変える清竜人というアーティストの性質を考えると、ほぼ完璧なアルバムを完成させてしまった清竜人25というグループのこの先はどうなってしまうんだろう?という余計な心配が浮かんでしまうのだが……。
「もしこのアルバムで終わってしまうのであれば、メンバー募集のときに〈期間限定〉って書いてほしかった(笑)。ちょっと困りますよ! でも(竜人は)何考えてるかわからないので、いつかピッて切られるかもしれない。要注意ですよね」(美咲)。
「やれることはやりきったのでそれなりの燃焼感、達成感はありますよね。でも、出してみてのレスポンスはこれからだし、まだやれることの余白もあると思うので、続けていけたらいいなとは思っています」(竜人)。
「大丈夫! 私たち、結婚して夫婦なわけじゃないですか。竜人君が私たちのことを嫌いにならなければ続きます。だって夫婦だよ? うちら仲いいもんね♥」(桃花)。
「……ね♥」(竜人)。
清 竜人25
プロデューサーとメンバーを兼ねる清 竜人を中心に、清 咲乃(第1夫人)、清 桃花(第2夫人)、清 亜美(第3夫人)、清 美咲(第4夫人)、清 可恩(第6夫人)、清 優華(第7夫人)から成る一夫多妻制のアイドル・ユニット。2014年11月に、グループのコンセプトを反映させた“Will♡You♡Marry♡Me?”でデビュー。2015年は2月に2枚目のシングル“A・B・Cじゃグッと来ない!!”を発表したのち、4月には第5夫人の清菜月の活動休止を受けて現体制に。5月にはサード・シングル“Mr.PLAY BOY…♡”を上梓。〈ROCK IN JAPAN〉〈TIF〉などのフェス出演をはじめとしたライヴ活動も活発ななか、このたびファースト・アルバム『PROPOSE』(トイズファクトリー)を9月2日にリリースする。"