ジャズ演奏家の死は、喪失そのものだ。彼のアーティキュレーション、音色、空間を埋める着想にいたるまで即興演奏に支えられたジャズ演奏だから、彼/彼女の喪失は、ひとつのジャズの喪失に等しい。ベーシスト、エバーハルト・ウェーバーは亡くなったわけではないが脳卒中で倒れて以来ベースを再び演奏することができなくなっている。そんな彼を励ますコンサートの模様を収録したCDがリリースされた。レコーディング、ライヴで長年一緒だったヤン・ガルバレクを中心にゲイリー・バートン、パット・メセニーらが参加、ウェーバー・ミュージックのテクスチャーを彷彿とさせる響きが会場を包んだ、素晴らしいライヴだったようだ。