音を楽しみまくるH ZETT Mの関連作品!

 H ZETTRIOの楽曲を一手に担うH ZETT Mは、作/編曲家、プロデューサー、プレイヤーとして数多の作品に携わっている。ここではその一部――特に近年に絞って紹介しよう。まず本人名義としては、〈弾きまくりDESTROY〉スタイルもあれば、一連のおとぎ話のような楽曲群を2枚組に収めた最新作『魔法使いのおんがく』のようなものもあるが、どれもエキセントリックでユーモラスな鍵盤捌きを堪能できるという点で共通。また、〈弾いてみた〉勢とのコラボ作も2枚残しており、その第2弾のほうでは、「ドラえもん」「ジョジョの奇妙な冒険」の関連曲をピアノ四重奏化! 凄まじいテクニックで圧倒しつつ、自然と笑顔を引き出す演奏は一聴以上の価値ありだ。

H ZETT Mの2013年作『魔法使いのおんがく』収録曲“大西洋レストラン”

 

 また、そんな手腕は他のアーティストの作品でも活かされていて、例えばMIYAVIの〈対戦型コラボ・アルバム〉でスラップ・ギターとタイマンを張ったり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの“ケモノケモノ”に軽やかさをプラスしたり、〈ピアノ×ダンス・ミュージック〉というテーマに個性派の鍵盤奏者が招かれた★STAR GUiTARの『Schrodinger's Scale』では華やかなピアノ・ハウス“echoes”で幕開けを飾ったり、藤原さくらのデビュー作に出没したり……加えてtricotの最新作『A N D』では、「弾いてもらったソロがどれも凄すぎて選べなかった(笑)」というメンバーからの証言も。ほか、珍しいリミックス仕事としては、ある種の破壊的な改編によってカタルシスを際立たせたでんぱ組.inc“W.W.D II”、アレンジでは木村カエラの最新シングルに収録の“SHOW TIME”“オバケなんてないさ”が直近のナンバーで、晴れやか&ファニーなポップ感を注入している。

★STAR GUiTARの2014年作『Schrodinger's Scale』収録曲“echoes”

 

 さらに木村カエラとは、同シングルのリリース記念のフリー・ライヴにH ZETT Mとやたら似ている〈友人〉、ヒイズミマサユ機がバック・バンドに参加というトピックも。2015年末の解散を宣言している〈侍ジャズ〉集団、PE'Zのキーボーディストである彼は、H是都Mとして初期の東京事変を支えたり、椎名林檎の最新シングルでも特異なプレイを披露するなど、椎名の周辺作品にもクレジットされている人物で……と、いったい誰のコラムかわからなくなってきたが、H ZETT Mはとにかく多作。新垣結衣クレモンティーヌ高橋瞳ら、過去の楽曲提供もさまざまなので、ここでピックした作品以外も追ってみてはいかがだろうか?

椎名林檎の2015年のシングル『長く短い祭/神様、仏様』収録曲“長く短い祭”