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BO NINGENのことをご存知の方もそうでない方も、Mikikiでははじめまして。
BO NINGENは、イギリスはロンドンに拠点を置くバンドです。ぼくはそのなかでギターを弾いているYukiという者です。
現地の音楽のこと、生活のこと、あれこれ、伝えていくのが主な旨の連載ですが、
今回は1か月ほどアメリカに滞在しているので、主にアメリカのツアーや〈コーチェラ〉での記録/記憶を、断片的に、綴っていこうと思います。

いましがたNYはブルックリンの家にいて、
マンハッタンを遠くに臨みつつ、知らないのに知っている、この妙な既視感に似て非なる感覚を覚えながら、ビールを呑みつつこれを書いています。

 

 

さて、この国にBO NINGENとして演奏しに行くまで、長い歳月を要したように思います。
いろいろありました。
フライトの前日や飛行機の中、幾度となくジョン・フェイヒーの『America』を聴き倒した気がする。興奮のあまり。
もともと好きなアルバムではあったけれど、この時のために、まるであらかじめ決められていたように、
初めて音楽を聴いたように、彼の国に想いを馳せて、まずは一路、テキサスはオースティンに向かいました。

【参考音源】ジョン・フェイヒーの71年作『America』収録曲“America&rdquo”

 

〈SXSW〉。
日本の皆さんもご存知の方も多いと思いますが、現在世界中で催されている都市型フェスティヴァルの元祖であるこのフェスは、
通常の野外開催のものとは異なり、街中のライヴハウス、バー、カフェ、十字路、川のほとり、街に備わるスペースのすべてで、
日夜バンドが演奏するというフェスティヴァルです。2000組を超えるアーティストが、5日間、至るところで演奏します。
われわれBO NINGENは5月に同地で催される〈オースティン・サイケ・フェスティヴァル〉という別のイヴェントがキュレーションするステージ、加えて拠点である英国NME誌のキュレーションによるブリティッシュ・ミュージック、つまりイギリスのバンドがメインのステージにて演奏。
濃密すぎた1週間の滞在の、どこから始めてどこで終わればいいのかわからないこの旅を、半ば順不同に、日記のように書いていこうと思います。

 

【Day 1】

 初日はオースティン着が深夜だったため、ホテルへ直行。
もはやBO NINGENのツアー、この連載では通例となった時間軸の錯乱、時間感覚の延長/減退に一同クラゲのようにふにゃふにゃになりながらも、なんとか喝をと意気込んで購入したアメリカ産ビール。

 

でかい

 

写真では伝わらないですが、缶ビールにして1リットル。
手に収まらない破格のサイズ。いきなりアメリカ合衆国の洗礼を受けます。
ホテルのTVで放映されていた映画「ジョーズ2」を観ながらなんとか飲み干し、翌日に備えます。

【参考動画】映画「ジョーズ2」トレイラー

 

【Day 2】

この日はまずアーティスト登録をしてリストバンドをもらうために、すべての出演者が集結するコンヴェンション・センターなる建物へ。
天気も良く気温も28℃まで上がり、図らずも道中、ビールを購入。美味い。
フェスティヴァル会場であるオースティンの街を散策。喧噪とアンプリファイされた大音量の楽器の音が混ざり、異様な雰囲気。
暑さも限界(われわれは暑さに弱い)のため、レストランでランチを取ることに。
言わずもがな、呑み続けます。テキサスにせっかく来たということで、ここではステーキを所望。
テキサスはメキシコに近いという土地性もあり、TEX/MEX、いわゆるテキサス/メキシカン料理のお店が本当に多い。
かつ、みんな本当によくもまあ、こればかり食べます。タコス、ブリトー、トルティーヤ、アボカドのサラダ etc
美味しいのは美味しいのですが、この小麦粉とコーンを駆使した料理が、のちのちわれわれの胃腸を侵しはじめていきます。
夕方より、アメリカ・ツアー中でこの〈SXSW〉が最終日程である友人のバンド、下山(GEZAN)を観に、6thストリートを東へ進み、リバティーという会場へ。
途中で〈ぼーにんげんやん!〉と声をかけてきたのは、ドラムのシャーク。すでにアメリカの路上が板についていました。
立ち話をしていると、マヒト、イーグル、カルロスも合流、久々の邂逅。

 

みんなで記念写真。久々で嬉しい

 

ある程度お酒を煽りつつ、下山のライヴを鑑賞。昔から言ってるけど、彼らにはほんまにいつも元気をもらいます。
キレのある、粗暴な音楽やパフォーマンスだとよく評されるバンドだけど、歌っている以上それは〈うた〉です。
だから好きです。

【参考動画】下山のNYツアー記

 

内側から、外側から、日本から、欧米から、
いろいろと型にはめたがる傾向のある音楽の世界のなか、別段馴れ合いをするわけでもなく、
語るべきことを語り、語るべきでないことを語らず、共有し、音楽で何ができるかをこれほど話し合えるバンドをぼくは他に知りません。
GEZANと日本でも表記する彼らに敬意を払いながら、彼の地アメリカで再会できたこと、とても嬉しく思います。
しばし歓談の後、日付が変わろうという時分、バスに揺られてホテルへ。

 

【Day 3】

この日もまだ自分たちのライヴはなく、アメリカでわれわれをサポートしてくれるレーベルやパブリッシャーの人たちと会ったり、インタヴューがあったり、いわゆるプロモーションの日になりました。
先日の疲れや時差ボケもあるなか、ホテルで朝食を取っていると、
もんちゃんが聞いたこともない高らかな声で〈Hey!!!〉と誰かに手を振り出しました。目線の先には、
THE BOTS(ボッツ)。

 

 

兄弟2人から成るLA発のパワー・ブルース。ハーフ・アジアンな彼らですが、
弱冠16歳のアナイアのドラミングの破壊力やキレといったら、それはもうイギリスには絶対いないタイプの黒人特有のシャープさ。
去年イングランドのフェスで共演して以来、互いのライヴに魅せられ、仲良くなりました。
オフステージでは2人ともあどけなさの残る少年で、今回はトレードマークであるアフロが小さくなってたので、余計かわいらしかったです。

【参考動画】ボッツの2014年のEP『Sincerely Sorry』収録曲“5:17”

 

その後は、われわれのパブリッシャーであるベガーズ・ミュージックのエイミー、そしてベガーズ・ミュージックのLA支社、つまりアメリカにおいてわれわれのお世話をしてくれるクリッシーと早めのディナー。
予約してくれていたレストランに赴くと……
やっぱりメキシカン。トルティーヤの山。ビーフはとにかく美味しいのですが、このあたりからわれわれの胃が白米を求め出してきました。
その後はエイミーがマネージャーを務めるグラス・アニマルズのライヴをしばし鑑賞、一路ベガーズの所有するスタジオへ。

【参考動画】グラス・アニマルズの2014年のEP『Gooey』収録曲“Gooey”


われわれの最新シングル“DaDaDa”をリリースしてくれるNYのレーベル、ノー・レコーディングスのブライアンと待ち合わせ、7インチをいただき、しばし歓談。言わずもがな、ここまでのビール痛飲量たるや、もっぱら増加の一途。
足下が地面から離れてまたもクラゲ状態になったところで、われわれは一足先にホテルへ帰宿。

【参考動画】5月12日にリリースされるBO NINGENのニュー・アルバム『III』収録曲“DaDaDa”

 

【Day 4】

ついにパフォーマンスの日となり、みんなの士気も高まるばかり。
まずはコーヘイ君と2人で、これもまた先のオーストラリアにおける〈ビッグ・デイ・アウト〉で知り合ったトロ・イ・モワのベーシスト、パトリックが参加するペインテッド・パームスのライヴへ。
トロ・イ・モワと同じく、これも絶対イギリスでは生まれないタイプの音楽。内陸なのにサーフ、聴こえないはずの波の音。サイケデリックの違い。

【参考動画】ペインテッド・パームスの2014年作『Forever』収録曲“Forever”

 

というか、よりくっきりしていますね、アメリカの音楽は。
いつだったか、コウヘイ君と話していて、イギリスのサイケデリックはフォーク・ミュージックが源流なので、一等分かり易い例だと、やっぱりニック・ドレイクだという話になり、続いて初期のピンク・フロイド、〈やっぱターナーなんだよね〉という彼の一言が印象的でした。

【参考動画】ピンク・フロイドの67年作『The Piper At The Gates Of Dawn』収録曲
“Astronomy Domine”

 

つまり、ぼんやりしていて、どこかはっきりしない、靄がかかったような質感。
対してアメリカのそれは、なんといいますか、非常にくっきりした、晴れた感銘を受けます。簡単に言うとより明るく、キャッチー。話が思いきりずれました。

 

 

パトリックと一枚。
おもしろいやつ。暑い場所でしか会ってない気がする。
ベーシストとしても素晴らしいです。

機材の運搬はたいげんともんちゃんに任せ、先に街に出ていたわれわれ2人はパトリックと別れた後、空腹を満たすため、メキシカン以外の食べ物を!と意気込み、コウヘイ君が下調べしておいたラーメン屋〈だるま〉へ。救済。

これがだるま

 

 

と

 

 

オースティン産のペール・エール。なかなか美味しい。
イギリスのペール・エールほどコクがなく、オーストラリアで愛飲していたクーパーズと似たすっきりした味わいのペールでした。

2人して黙々とラーメンを流し込み、至福の時間を満喫した後、この日の会場であるホテル・ヴェガスへ。
先述の通り、どの会場にどの時間に行っても、誰かしらバンドが演奏しているので、ビール片手に音楽がいつでも楽しめるという点は素晴らしいことです。会場に着いてまずは元エメラルズのマーク・マグワイアのソロ・ライヴを満喫。

【参考音源】マーク・マグワイアの2014年作『Along The Way』収録曲“The Instinct”

 

天候にマッチした、〈爽やかなマニュエル・ゲッチング〉とでも形容できそうな、多層的なレイヤーが心地良いギター・プレイでした。ガーデンにもステージがあり、ここで太陽を浴びながら無論呑み続けたわけですが、ここではテンプルズ、ブラック・リップスなどが演奏。夕方5時に差し掛かり、この時点で早くも酩酊の危険があったので、酔い覚ましにとあたりを散歩。
このあたりはいわゆるイーストエンドで、中心部から少し離れた静かなエリア。フェスティヴァルの喧噪を束の間忘れさせてくれる、本来のテキサス、本来のローカル、本来の街の姿でした。

 

アメリカ

 

テキサスはアメリカのかの星条旗とは別に、こんなふうにテキサス州の旗を掲げています。
ローカルのコミュニティーが強く根付き、テキサス人であることに誇りを置いている証拠です。
ブリテン島のそれと似た感覚を覚える。

 

テキサス・フラッグとぼく

 

会場に戻り、機材を搬入してくれた残る2人と、マネージャーのレイチェルと合流、出番の10時までガーデンにて団欒。
ようやく暗くなり、心地良い酔い具合と共についにアメリカ、初ライヴを迎えます。
ほとんどがわれわれのことを知らないはずなのにもかかわらず、大勢のお客さんが集まってくれて、テンションはピークでしたが、
それ故、もはやジンクスと化したように、イントロでまず弦を切ってしまいました。
そんなに問題ではないのですが、続いて激しさの余りストラップが千切れる始末(外れたのでは、なく)、これには抗えず、サーカスの曲芸師のように、片足で弾き倒していたところ、なんとボッツのステージ・テックの人がささっと直してくれました。
本当に助かりました、ありがとう。

終演後はたくさんの人に話しかけてもらい、アメリカ初ステージは大盛況にて幕。

 

【Day 5】

尋常ならぬ筋肉痛を引きずって、ホテルからふたたびダウンタウンへ。
この日は2回ライヴがあり、フェスティヴァル自体は終盤にもかかわらず、われわれはむしろこの日から加速していくスケジュール。
まずはお昼の2時より、テリブル・レコード/サイベリア・レコードというオーストラリアのレーベルのショウケースに出演。
ロンドンではもはや演奏することのないような、非常に小さいバーのステージでの演奏となりました。
少し前にレディオヘッドのサポートを果たしたのも記憶に新しいコナン・モカシンも観に来てくれました。

【参考動画】コナン・モカシンの2013年作『Caramel』収録曲“I'm The Man, That Will Find You”

 

そして夜、ノー・レコーディングスのショウケース・パーティーに出演するため、
中心部から少し離れたオースティン大学のあるエリア、学生寮や学生運営のバーやスペースがある建物内のウェアハウスのようなところで、先日知り合った同じくノー・レコーディングスから作品をリリースするエンプレス・オブと共に出演。

【参考音源】エンプレス・オブの2013年のシングル“Realize You”

 

BO NINGENのライヴは昼間とは打って変わり、若き学生たちのエナジーが炸裂する拳と汗の行き交う嵐のようなハードコア・ショウへ。
最近では珍しく激しいモッシュが起こり、初期を想起させるライヴでした。
終演後の学生たちによる〈sick!〉〈awesome!〉〈dude!〉と、なんともアメリカン・ティーン英語のお手本のような言葉が次々に飛び交い、まるでラリー・クラークの映画をその場で撮影して観せられているような、不思議な感覚に陥る。
エンプレス・オブをはじめ、この日は良いアクトが多く、大いに酔っぱらい、気付けばホテルで卒倒。

 

【Day 6】

この日もライヴは2本。明朝4時にホテル発という辛辣極まるスケジュールのため、事実上この日が〈SXSW〉の滞在最終日となりました。
軽い宿酔または100ほどの天使を見据えながら、1本目、われわれも出演した〈ビッグ・デイ・アウト〉、それに〈サウンドウェイヴ〉と並ぶオーストラリアの大型フェスティヴァル、〈レーンウェイ・フェスティヴァル〉のキュレーションするステージへ。もはや会場到着と同時に〈beer o'clock〉の鐘が鳴るのは言うまでもありません。ツアーやこういう旅先では儀式化します。身体の緊張をほぐした後、ステージへ。

なかなかに良いライヴができたと思います。われわれの後に演奏したのが、最近もっぱらハイプの最中にいるファット・ホワイト・ファミリー。
さまざまな人が噂し、賛否両論を巻き起こしている何かと話題のサウス・ロンドンを拠点にする彼らですが、意外(と言っては失礼なのは承知のうえで)にもすごく良いライヴでした。パフォーマンスもさることながら、機材のトラブルにうろたえつつも、やってまえ、もうええわ、といったような怒りに満ちた芸人魂を感じました。多くのミドルエイジ(主に50代後半)のリスナーにとっては、ピストルズを彷彿とさせるある種の傲慢さがエナジーとなり、ステージを支配しているような印象。昨今のロンドンのバンド・シーンのなかでは、かなり異端なのではないでしょうか。

【参考動画】ファット・ホワイト・ファミリーの2013年のシングル“Cream Of The Young”

 

このあたりから記憶が曖昧(おそらくは度重なるアルコールの痛飲による)でして、最後のステージ、NMEがキュレーションを務めた〈ブリティッシュ・ミュージック・エンバシー〉と題されたショウケースについては、割愛させていただきます。
このショウケース、文字通りイギリスのバンドだけを厳選していて、われわれは日本人にもかかわらずロンドンのバンドとして演奏できたのは、大いに光栄なことでした。
外には長蛇の列、結局入場規制がかかるほど大盛況で〈SXSW〉を締め括ることができました。

 

〈SXSW〉を終え一路ロンドンへ。
3週間ほどロンドンへ戻り、ミュージック・ビデオの撮影が2本、ミーティングや諸々オフも兼ねつつ休み、ふたたびアメリカへ。
説明は不要と思われますが、カリフォルニアで行われる世界屈指のフェスティヴァル〈コーチェラ〉に出演するためです。

まずはLAに降り立ち、夜中の到着のため、砂漠へ移動してホテルで即就寝。
翌日朝9時にはフェス会場入り、われわれの次の出番が同じくロンドンから来ている友人のバンド、ファクトリー・フロアもいっしょに会場へ。

 

ファクトリー・フロアのみんな

 

ステージ設営を見守る。朝9時の時点で30℃超え

 

朝食を取りつつ朝から当然の如くビールをプシュッ。鐘はふたたび鳴らされました。

 

ケータリング・エリア全体図

 

アルコール以外は食べ放題・飲み放題のまさに砂漠のオアシス。暑さをしのげる屋根があるのは本当にありがたいのです。

そしていよいよ本番。
われわれはリリースやツアーなどしたことのない、アメリカではほぼ無名のバンド。そんなわれわれが〈コーチェラ〉で演奏できること自体誉高いことなのですが、心配をよそにたくさんの方が集まってくださいました。テントを埋め尽くすにはまだまだ先は長い、深い、ですが、言葉にならないくらいの感慨を受けました。出し切り、振り切り、気持ち良く演奏できた。

 

 

その日は暑さや時差ぼけの疲れもあり、他のバンドはほぼ見なかったのですが、これを見ずして死ねない、といった勢いで、モーターヘッドをアーティスト・エリアから鑑賞。
はっきり言って衝撃を受けました。

【参考動画】モーターヘッドの80年作『Ace Of Spades』収録曲“Ace Of Spades”

 

言葉は野暮。メタルでしょ?とか言うてる人も、余計な教養をかなぐり捨てて、あたま空っぽにして観れる機会があれば、ぜひ観てほしい。

 

 

〈コーチェラ〉は最初の3日間の後、1週間置いてまったく同じラインナップでふたたび週末に開催されます。つまり出演者は2回演奏することになるわけですが、その間の1週間はオフやサイド・ショーも兼ねてLAに滞在。

シルヴァー・レイクというエリア(ロンドンでいうと、イーストよりもどちらかといえばプリムローズヒルやハイゲート、ノース・ロンドンの印象を受けました。わかる人はわかるかな?)の一軒家にステイ。まさにLAといった趣きで、ダウンタウンと違い、非常に時の流れがゆっくりな、素敵なエリア。
毎朝コーヒーを飲む行きつけのカフェまで出来てしまう始末。

 

近所

 

近所2

 

星条旗とぼく

 

数日休んで、ハリウッドにあるヴェニュー、ロキシー・シアターでこれもまたロンドンの友人のバンド、テンプルズと共演。

【参考動画】テンプルズの2014年作『Sun Structures』収録曲“Mesmerise”

 

この日は彼らのアメリカでの人気を窺い知るかのように、ソールドアウト。大いに呑み、大いに楽しい夜でした。

 

 

LA最後の夜は友人や知人を誘い、ステイ先のガーデンでバーベキュー。〈BO NINGEN dinner club〉と銘打ち、もんちゃんがまたも腕を振るいました。ノー・レコーディングスのオーナー=ブライアンや、友人のバンドであるサヴェージズのドラマーのフェイ、この日もビアーの鐘は鳴りっぱなし。こうして振り返ると、LAではロンドンの友人とたくさん会いました。不思議なもの。

 

サヴェージズのドラマー、フェイ。酩酊

 

さて、〈コーチェラ〉第2週目は、金曜日からわれわれもフェスへ赴き、せっかくなので観たいバンドを観ようということになりました。
金曜も結局ただただ呑んで、ほぼ何も観ず、
お馴染みになったトロ・イ・モワのベーシスト=パトリックやボッツ兄弟と連れ添い呑み明かし、土曜はピクシーズで10代の青春にフラッシュバックし、LAのバンドのウォーペイントがとても格好良くって感動しました。

【参考音源】ウォーペイントの2014年作『Warpaint』収録曲“Disco//Very”“Keep It Healthy”

 

彼女たちも、やはりロンドンやイングランドからは絶対生まれない音楽、それに技量とエナジーがあります。それも、絶妙なミックスで。

 

本当に格好良かった、彼女たち

 

そして日曜、ふたたび〈ゴビ・ステージ〉で演奏し、〈コーチェラ〉でのライヴは終了。
なんだかあっという間で、その夜に観たベックのライヴが象徴的で、砂漠の夜の空へ投影されるライティングや、それぞれがフェスの終わりに向けて繋がっていく、向かっていく感じが彼のライヴと妙にシンクロしていた。初期の“Loser”のようなナンバーから、次第にゆっくりと沈んでいくような曲群に、何とも言えない趣きがあって、
これで終わりなんだなあ、と感慨深いものがありました。
砂漠の夢。
夢の終わり。

【参考動画】ベックの94年作『Mellow Gold』収録曲“Loser”

 

翌日は一路LAからボストンへ。
一泊してライヴ。なんと初期を思い出すようなイヴェントで、お客さんは5人くらいでした。
ライヴ前に、〈お客さん5人以下やったら1時間くらいジャムやろうや〉などと冗談交じりに談笑していたら、夢が現実に。
〈コーチェラ〉からの覚醒感。
そうだった、東海岸は寒く、暗い。
スコットランドやヨーロッパのような厳しさと美しさが街に感じられます。
ということで、セットに20分ほどジャムを挿み、おかまいなしにいつも通りライヴを終え、盛り上がろうとなかろうと、客がいようといまいといつも通りに酩酊し、ホテルへ帰還。

そして先日、NYに到着。
その日はマネージャーのマライダと合流し、ディナー。
ぼくは同じNYに滞在しているコナン・モカシンの面々と街に繰り出し、
他の3人はまたも偶然NYにいた、Acid Mothers Templeのライヴへ。

 

密会

 

ここまでが、
こんな感じ、なのか。わからない。といった、具合。

長い。かったですよね。
これでも相当に割愛したのですが、起こった出来事のすべてを文字によってドキュメンタリーとして綴ってみたものの、
実際起こったその瞬間と比べると、いま振り返れば、あまりに鮮明すぎ、あまりにドキュメンタリーすぎて逆に現実に見えない、聞こえなくなってしまいました。
故に自分でもまとめ上げるのに苦労してしまい、とりとめもない記録になってしまったこと、お詫びします。
でも2人くらいは最後まで読んでくれるかもしれない。
だったら嬉しい。

浮遊する脳内の記憶を辿る過程で、唯一わかったこと。
マンハッタンを眺めて覚えたあの感覚は、ウォーホルの大好きな映像作品「Empire」のせいだったのだと。

(この記事が公開される頃にはUSでの日程を終えてロンドンへ戻っていますが)今後はブルックリンのニッティング・ファクトリーで演奏、そしてNYのラフ・トレードでインストア・ライヴ、さらにフィラデルフィア→ボルティモアと続き、ファイナルはテキサスへまたも赴いて〈オースティン・サイケ・フェスティヴァル〉の出演を経て、今回の、ツアーと呼ぶには小さな、でも道のりは果てしなく大きい、アメリカの旅を総括します。

それではまた。

 

PROFILE/BO NINGEN


Taigen Kawabe(ヴォーカル/ベース)、Kohhei Matsuda(ギター)、Yuki Tsujii(ギター)、Akihide Monna(ドラムス)から成る4人組。2006年、ロンドンのアートスクールに通っていたメンバーによって結成。2009年にアナログ/配信で発表した『Koroshitai Kimochi EP』が現地で話題となり、UKツアーのみならず、日本盤の発表後は日本でのツアーも成功させる。2011年にミニ・アルバム『Henkan EP』をリリース。最新作『Line The Wall』(Stolen/ソニー)の日本盤も大好評。〈フジロック〉やオーストラリアの〈ビッグ・デイ・アウト〉、USの〈SXSW〉〈コーチェラ〉といった各国の大型フェスへ出演し、ますます注目を集めるなか、5月12日にはUKで3枚目となる待望のニュー・アルバム『III』がリリースされます! 最新情報はこちらのサイトでチェック!