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エスペランサ・スポルディング、ボウイの盟友トニー・ヴィスコンティと異形のポップ鳴らす新作『Emily's D+Evolution』収録曲のMV公開中

photo by Holly Andres

 

エスペランサ・スポルディングがニュー・アルバム『Emily's D+Evolution』を3月4日にリリース。現在、同作収録曲“Good Lava”のミュージック・ビデオが公開中だ。

エスペランサといえば、バークリー音大の講師に若干20歳で抜擢され(もちろん史上最年少)、2010年のメジャー第2作『Chamber Music Society』でジャスティン・ビーバーを抑えてグラミーの最優秀新人賞に輝くなど、現代ジャズ・シーンが誇る正真正銘のスーパースター。超絶技巧を誇るベース・プレイ、鮮やかな作編曲のセンスと軽やかに跳ねるヴォーカルで知られ、ブルーノ・マーズのアルバムに客演し、プリンスからの寵愛を受けるなど、ジャンルを越えて愛される存在だ。

そんな彼女が始動させたプロジェクト〈Emily's D+Evolution〉は、自身のミドル・ネームである〈エミリー〉を冠し、誕生日の前の晩に見た夢のなかに出てきたというキャラクター(=もうひとりの自分)を主人公として、〈進化(Evolution)〉と〈退化(Devolution)〉を表現するというコンセプトを持つ。このプロジェクトを引っ提げて昨年9月の〈第14回 東京JAZZ〉に出演した際は、切れ味鋭いロック・サウンドと共にシアトリカルな視覚性もアピールするなど、異彩を放ちまくりながら観応えのあるパフォーマンスを披露していた。そして今回のアルバムで、謎多きプロジェクトの全貌がいよいよ明かされるのだろう。

ESPERANZA SPALDING Emily's D+Evolution Concord/ユニバーサル(2016)

共同プロデュースを務めるのは、先日惜しくも亡くなったデヴィッド・ボウイの名パートナーでもあるトニー・ヴィスコンティ。タッグ結成に至った経緯は不明だが、もしかしたら本作のコンセプトもジギー・スターダストやアラジン・セインなど、かつてボウイが演じた〈ロック・ペルソナ〉の影響下にあるのかもしれない。サウンドは90年代オルタナ・ロックの要素を色濃く感じさせながら、セイント・ヴィンセントなど現行のインディー・ロックも視座に収めたと思しきもの。ボウイ作品に準えるなら、新作『★』よりも前作『The Next Day』に近いだろうか。いわゆるジャズ的な曲展開はほぼ皆無だが、自身のベースを中心にジャズ・プレイヤーならではの技巧が演奏に滲み出ることで、凡庸なロックとは一線を画すサウンドを獲得している。マシュー・スティーヴンス(ギター)、カリーム・リギンス(ドラムス)、ジャスティン・タイソン(ドラムス)、コーリー・キング(コーラス/キーボード)と、新世代ジャズを代表するミュージシャンが集結している点も見逃せない。

新作からはもう1曲、ベースラインの強烈な“One”も公開されているほか、YouTubeには多数のライヴ動画がアップされている。これらをチェックしながら、アルバムの到着を楽しみに待とう。

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