さながら遊園地のように誰もが楽しめるロック――そんな夢のようなアルバムに、自称〈イケメンバンド〉のグラサン5人組がチャレンジ!

 2010年9月の結成以来、〈チャレンジしてない人生なんて!〉をスローガンにジワジワと耳目を集め、昨年4月にミニ・アルバム『スター誕生』でメジャー・デビューを果たしたザ・チャレンジ。トリプル・ヴォーカルを擁する5人のメンバーはそれぞれ担当カラーのサングラスをかけ、〈イケメンバンド〉を自称するも、バンドの中心メンバーである沢田チャレンジ(ヴォーカル)はマスコット・キャラクター的な存在に徹し、過剰なまでのサーヴィス精神でリスナーを喜ばせる。しかし、そのスタンスは、ロック・バンドとしてポップ・ミュージックとエンターテイメントの可能性を大いに広げる楽曲のクォリティーとライヴ・パフォーマンスに絶対的な自信があるからこそ取れるものである。そして、そのマインドを決定的に示すべく完成させたファースト・フル・アルバムのタイトルはズバリ、『ザ・チャレンジランド』。〈アミューズメント・パーク〉をコンセプトに、音楽と戯れるアトラクションのように機能する全11曲を収録している。

ザ・チャレンジ ザ・チャレンジランド ユニバーサル(2016)

 「『スター誕生』は、ライヴハウス・シーンを駆け上がるザ・チャレンジというバンドの存在を楽しんでもらうことを念頭に置いて制作したんですね。念願だった赤坂BLITZでのワンマン・ライヴも実現できて、バンドのストーリーをお客さんと共有するという夢が叶った部分もありました。ただ、いざメジャー・デビューしてみると、お客さんとは共有しづらい戦いもあって。不特定多数のリスナーにこのバンドの音楽を届けるためにメジャー・デビューしたわけですけど、そのためにはEXILEAKB48と(同じフィールドで)戦っていく覚悟も必要であって。ロック好きのリスナーはもちろん、普段はロックを聴かないリスナーにも聴いてもらって、ロック・バンドの固定概念を覆せるようなファースト・フル・アルバムを作りたいし、作らなきゃいけないと思ったんです」(沢田チャレンジ:以下同)。

 〈アミューズメント・パーク〉という賑やかなコンセプトを掲げる以上、潤沢な予算をかけたほうが理想を具現化しやすいに決まっている。しかし、いまはまだバンドがそれを叶えられる状況にない以上、チーム一丸となってクリエイティヴィティーを発揮する必要があった。その結果、本作にはいつだって逆境をポジティヴに転換し、リスナーを巻き込み、歓喜で満たしてきたザ・チャレンジというバンドの本質が剥き出しになっているから興味深い。メンバー総動員でさまざまなアイデアを持ち寄りながら楽曲を書き、パークの案内図に見立てるなどブックレットのアートワークにも遊び心に富んだ仕掛けを用意。なかでも陽性のポップネスを押し出したリード・トラック“オレオマエフェスティバル”と、〈小さすぎる僕らは たいしたこともできないけど ちっぽけな喜び集めて暮らす〉――バンドの信念を実直な筆致で綴ったバラード“大きな世界”は、そのコンセプトと向き合った結晶として本作のクライマックスを飾っている。

 「〈アミューズメント・パーク×ロック〉というフォーマットでどれだけ楽しい作品を作れるかというチャレンジにおいて、いまの僕らができる100%の内容になった自負があります。“オレオマエフェスティバル”と“大きな世界”はバンドのメッセージ性においても究極の2曲だと思いますね。あとは、リスナーの皆さんに思う存分このアルバムを楽しんでもらうだけです」。

 


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ここではザ・チャレンジの作品を紹介します。沢田チャレンジのエンタメ精神に満ちたパフォーマンス&MCとフック満載のロック・サウンドで、2010年の結成以来ライヴハウスを中心に支持を集めてきた彼らは、2013年にディスコ・ロック調の人気曲“お願いミュージック”を含むミニ・アルバム『はじめてのチャレンジ』(IKEMEN)で全国デビュー。2014年には2枚目のミニ作『みんなのチャレンジ』(同)でポップさに磨きをかけ、同年11月にはタワレコ限定シングル“一等賞”に続けて東京・LIQUIDROOMでの初ワンマンを成功させます。2015年4月に、それまでの代表曲や新曲を収録したミニ・アルバム『スター誕生』(ユニバーサル)でメジャー・デビューを果たし、同年8月にはシングル“すっぽんぽん”(同)を発表(“お願いミュージック”の小西康陽リミックスも収録!)。ひと聴きで合唱OKなポップンロールという楽曲自体はもちろん、芸人のとにかく明るい安村が出演したMVも話題になりました! *bounce編集部