2012年8月に配信先行でのリリースが注目を集め、来日公演も果たしたユニット”ERIMAJ(エリマージ)”のデビュー作『コンフリクト・オブ・ア・マン』が、遂に待望のCDリリースとなる。
ジャマイア・ウィリアムス(ds)、コーリー・キング(tb/key)、マシュー・スティーヴンス(g)、ヴィセンテ・アーチャー(b)の4人を核に、自身の配信先行音源のリリースもあるクリス・ターナー(vo)をフィーチャーするこの新世代ユニットは、ニューヨークのジャズ・シーンの最前線にいるメンバーを中心とし、彼らの共演仲間でもあるロバート・グラスパー(p)、ニコラス・ペイトン(tp)、ホセ・ジェイムス(vo)らの近年の作品とも共振する仕上がりとなっている。
R&B、ヒップホップにとどまらず、アトムス・フォー・ピースやテーム・インパラなどのオルタナティヴ・ロックをも愛聴する彼らが様々な音楽からの影響を、ジャズというフィルターを通して再構築したその音像は、とても心地良く刺激的だ。
このユニットの中心人物でもあるジャマイア・ウィリアムス(ds)は、渡辺貞夫(as)、ケニー・ギャレット(as)、クリスチャン・スコット(tp)などとの共演で来日経験も豊富であり、若手でも指折りの多忙なドラマーの一人だ。ドラマーとしての卓越したスキルのみならず、ビート・メイキングへのこだわりとアンサンブルを重視するきめ細やかなプロダクションのスキルは、この作品でもいかんなく発揮されている。
ゲストのジェイソン・モランの奏でるエレクトリック・ピアノに導かれたアブストラクトなオープニングに引き続き、コーリー・キング(tb)のソウルフルなトロンボーン・プレイが飛び出し、故トニー・ウィリアムス(ds)のライフタイム時代の曲やJディラの曲のカヴァーが交錯するその音像は、リリースからしばらくたった今でも輝きを失わない。この新感覚、是非体感されたし。