キケ・シネシや最近だとリカルド・モヤーノ等日本でも人気の高いアルゼンチン・ギタリストだがこのマティアス・アリアスはその誰ともタイプが異なる。奏法、音色も独特でとくに8弦ギターの上を駆け回る右手、何役もこなす左手の速度、技術は神憑り的である。今回デュオというかたちでタッグを組むアカ・セカ・トリオのドラマー=マリアーノ・カンテーロも想像力豊かな演奏をきかせ、マティアスによる複雑なフレーズの反復を軸にしたドラム・ソロとも想える怒濤のドラミングは圧巻。ある種のポスト・ロックに通ずるものもあり、フォルクローレを新たな次元に引き上げたといえるのではないだろうか。