動画サイトを介して10代の頃から注目を浴び、ここに満を持して完成したファースト・アルバムでは全曲をアークティック・モンキーズのアレックス・ターナーと共作。そのアレックスとジェイムズ・フォードが共同プロデュースにあたり、演奏も2人が担当して……と、まさに鉄板のバックアップを受けてデビューしたのが、ポートランド出身、21歳のシンガー・ソングライターだ。全編を包むのはアレックスとジェイムズを擁するラスト・シャドウ・パペッツが志向したマカロニ・ウェスタン風味と同種の、ドリーミーでサイケデリックなサウンド。主役のスモーキーな歌声との相性は申し分なく、〈ファム・ファタール予備軍〉と呼びたいキャラを演じているかのような、シアトリカルな世界を作り上げる。そんな美意識の高さから想像できる通り、映像のセンスも抜群で本人のアイコン値が高く、少々曲がりくねってはいるが、ナンシー・シナトラとフィオナ・アップルとラナ・デル・レイを繋ぐ線の延長上に佇む人だ。