多彩な音色、幅の広い音、輝かしいテクニックを駆使したイマジネーション豊かな演奏。尾池亜美のソロ・デビュー盤である(2013年3月に仏エラートより師のアモイヤルと共演したモーツァルトのコンチェルトーネが一足先に出ていた)。素晴らしい才能だ。日本人でこれだけ濃厚な感情表現を有し、同時に洗練されたセンスを感じさせる奏者は殆どいなかったと思う。フランクは過去の多くの名盤に優に対抗し、サン=サーンスに至っては最高の名演だと思う。店頭の試聴機などでサン=サーンスの終楽章だけでも耳にして頂きたい。その豊かな感情表現、押し寄せるエネルギーに圧倒されてしまうことだろう。