スペイン音楽の魅力をさまざまな場面で伝えてくれるピアニスト下山静香が、グラナドス生誕150年に録音した彼の最高傑作『ゴィエスカス』。「ゴヤ風」を意味するこの組曲で表現されたのは、グラナドスが焦がれてやまなかったゴヤの描く男と女。石畳、光と影、マドリードの街を舞台に浮かび上がる彼らそのもの、情感の発露、気配、いわば“生の物語”が、珠玉の一篇一篇の中で、華麗に、狂おしく、哀切を込めて綴られ、分かちがたく結ばれている。各曲に添えられた下山自身によるテクストもぜひ味読して頂けたら! 音と言葉、その向こうにあるゴヤの世界。グラナドスへの、スペインへの限りない愛情がこの一枚で艶然と形を結ぶ。