アーティーな佇まいで意識高い系の支持を集めるハイエイタス・カイヨーテの紅一点が発表した初のソロ・アルバムは、書き下ろしとバンドでの曲を含むさまざまなカヴァー群で構成された一枚。主役の歌とシンプルなギター・プレイを中心にしたオーガニックな作風は、その根源にある魅力を明らかにするものでしょう。その意味ではジミヘンやボウイ以上にタミア“So Into You”のカヴァーが興味深いのは言うまでもないです。
ハイエイタス・カイヨーテ(以下HK)のネイ・パーム初のソロ作は、新曲とHKの曲をヴォーカルとギターでプレイしたシンプルな……と言いたいところだが、ジェイソン・グルウィウィによる先住民族の歌で始まり、ムラトゥ・アスタトゥケの音階を拝借した“Molasses”や、ボウイ“Blackstar”~レディオヘッド“Pyramid Song”~HK“Breathing Underwater”のメドレーもあり、歌とギターが際立つと同時に、陳腐な弾き語りでは終わらせない仕掛けが満載だ。HKのカヴァーは、まるで制作過程を覗かせてもらったようなプリミティヴな響きで、彼女の歌唱とギター・プレイがたっぷりと堪能できるのも喜ばしいかぎり。