一度聴いたら忘れられない歌声を携えて音楽シーンに彗星のごとく現れ、その新鮮でソウルフルなサウンドが賞賛をもって迎えられたマセーゴが11月7日(火)にBillboard Live OSAKAで、11月8日(水)にBillboard Live TOKYOで待望の初単独来日公演をおこなう。マセーゴが提唱する〈トラップ・ハウス・ジャズ〉とはいったいどんな音楽なのか? 今回の来日公演はその本質に生で触れることができる、またとない機会だ。本稿では彼のこれまでの歩みを振り返ってみたい。
ジャマイカはキングストンで生まれ、アメリカのヴァージニア州で育ったミカ・デイヴィスは、ボツワナのツワナ語で〈神聖な〉〈恵まれた〉という意味の言葉である〈マセーゴ〉をステージ・ネームとして名乗っている。幼い頃からゴスペルやヒップホップなどブラック・ミュージックに広く親しみ、彼のメインの楽器であるアルト/ソプラノ・サックスはもちろんのこと、チェロ、トランペット、ドラム、ギター、ピアノ、そしてMPCまで、その奏法を独学で習得した。ジャズ・プレイヤーの多くがアカデミックな教育を受けているのとは対照的に、マセーゴは楽譜が読めないことを告白しているのだが、それゆえ彼は自然体かつ越境的な音楽を奏でられるのだろう。
2013年からBandcampやSoundCloudを通じ、自らビートを組んでラップしたジャジーなヒップホップ作品を多数発表してきたマセーゴ。ジャズやヒップホップはもちろんのこと、EDMやトラップ、ダンスホールといったメインストリームで流行しているスタイルを意識的に取り込んだそれらの楽曲は、一つのジャンルには押し込められない、ごった煮の音楽である。
DIYの制作とインターネットでの発表を続けるなかで知名度をじわじわと拡げていった彼は、2015年にダラスのプロデューサーであるメダシン(Medasin)と共作したEP『Pink Polo』で一気に耳目を集めた。トラップとトロピカル・ハウスとフューチャー・ベースが溶け合ったようなビートの上で、マセーゴのブルージーなラップ・ヴォーカルとサックスが自由に踊っている――『Pink Polo』はまさしく〈トラップ・ハウス・ジャズ〉と呼ぶべき音楽であった。
以降、フレッシュ・プリンスことウィル・スミスとのデュオで知られるDJジャジー・ジェフのフックアップを受け、マセーゴは快進撃を続ける。ラップと歌とを行き来する独特のヴォーカリゼーションとさまざまな楽器を操るマルチ奏者ぶりは多くのミュージシャンから客演を請われるようになり、LA在住の日本人プロデューサーでグラミー賞ノミニーのstarRoや気鋭のラッパー、ゴールドリンク、サンディエゴの新進マス・ロック・バンドのチョン(Chon)といったフレッシュな音楽家との共演を重ねていく。ジャンルにとらわれないエクレクティックな彼の存在感に、多くのミュージシャンは音楽の未来を見たのだろう。
今年5月に公開された“Tadow”のビデオ――デビュー・アルバム『French Kiwi Juice』によって一躍スターダムにのし上がったパリのプロデューサーFKJとレッドブル・スタジオで共演したパフォーマンス映像は890万回もの再生数を記録。FKJと共に複数の楽器を操り、フレーズをループさせ、その場で楽曲を構築していくさまは多くのリスナーやプレイヤーに衝撃を与えた。
また最新シングル“Navajo”のビデオも340万回再生と大ヒット。このように楽曲単位のパフォーマンス動画や共演によって次々と話題を生んでいくマセーゴは、まさにストリーミング時代の寵児だと言えるだろう。
サックスはもちろんのこと、サンプラーやシンセサイザーをも縦横無尽に駆使しつつ、ソウルフルなヴォーカル・パフォーマンスによって独自の音楽〈トラップ・ハウス・ジャズ〉を繰り広げるマセーゴのライヴ。今回の来日公演は、きっと夏が終わったとは思えないような熱い一夜になるはずだ。
LIVE INFORMATION
マセーゴ
2017年11月7日(火) Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 7,900円/カジュアルエリア 6,900円
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2017年11月8日(水) Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演19:00
2ndステージ 開場20:45/開演21:30
サービスエリア 7,900円/カジュアルエリア 6,400円
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