イカによるイカのためのイカすミュージックが人間界をも侵食してイーカ!?

 

 イカとヒト、両方の形態に自在に変身できるインクリングと呼ばれる生物が、さまざまなブキを手に街中をインクで塗りまくり、その塗った面積を競い合う。もはやお茶の間にもすっかりおなじみになったゲーム「スプラトゥーン」(Wii UTM用ソフト。以下前作)がリリースされたのは2015年5月のこと。

 同年10月にはゲーム内の音楽や効果音を収録した2枚組のサントラ『Splatoon ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune-』がリリースされ、ゲームサントラとしては異例のオリコン週間アルバムランキング2位を獲得。「スプラトゥーン」がゲームシステムやキャラクターだけでなく音楽の面でも多くのファンに愛されているのがわかる。

 というのも(すでに前作や「スプラトゥーン2」をプレイしている方はご存じだと思うが)、ゲーム中で流れるBGMのほとんどは、バンドやアイドルなどさまざまなイカ世界のアーティストたちが歌唱・演奏していることになっていたり、ゲーム内にミニゲームとしてリズムゲームが収録されていたり、イカがインクに潜るとBGMまで水中のような聴こえ方がしたり、サウンド面でのこだわりっぷりが半端ないゲームなのである。

 2016年1月と4月には、ゲーム内に登場するイカの人気アイドルユニット、シオカラーズが人間界でもライヴを実施。7月にはそのライヴを音源化したライヴ・アルバム『SPLATOON LIVE IN MAKUHARI シオカライブ』がリリースされた。サントラ未収録の新曲やイカ語によるMCなども含む大ボリュームのアルバムに仕上がった。

 そして前作より2年、待望のシリーズ第2弾となるNintendo SwitchTM用ソフト「スプラトゥーン2」が今年7月にリリースされた。2年の月日が流れると、われわれ人間たちと同様、イカたちの世界にも流行り廃りがあるようで、若者イカが集う街も変われば、イカたちが持ってるブキの構成なども一変。当然、彼らの流行の音楽にも変化が訪れている。

 いま現在、イカ世界で最も流行しているバンドはその名も〈Wet Floor〉。SNSきっかけで集まった5人の男女によるバンドで、多ジャンルを融合させた彼らの音楽はイカ世界の若者に大ウケしているらしい。そして彼らの楽曲は、代表曲3曲を含むEP『Inkoming!』として人間界でもCD化され、タワーレコード限定で7月にリリースされた。さらに同作には5人の人間によるバンド、Wet Floor Shibuyaの楽曲も収録され、レコーディングの模様はYouTubeで公開。『Inkoming!』は人間界でも大きな盛り上がりを見せた。そんなEPに続き、満を持してリリースされるのが「スプラトゥーン2」のサントラである本作だ。

 Wet Floorのロックチューンはもちろんのこと、「2」のアイコン的存在であるラッパーとDJによるユニット、テンタクルズのアゲアゲな曲など、本作ではゲーム中の楽曲を余すところなく網羅。また前作のサントラ同様、スタッフが厳選したゲーム中のジングルや効果音、イカの声などもふんだんに盛り込まれている。プレイ中はバトルに忙しくてなかなか集中して聴くことができないこういった音楽たちを改めて聴くことで、イカたちが生み出した楽曲のカッコよさ、クールさ、キュートさ、そして若干のマッドネスさを再認識することができるかもしれない。

 また前作のサントラでもブックレットで「や うぇに まれぃ」といったイカ語による楽曲の歌詞が公開され話題になったが、今作でもテンタクルズの曲の歌詞がブックレットで初公開(今度はどんな歌詞になってるんだろう…)。ほかにも、それぞれが各アーティストのジャケットになっていて差し替えが可能であったり、Wet Floorのメンバーによる座談会やテンタクルズのDJ・イイダへのインタビュー、そして開発スタッフのコメントなどが掲載されていたりと、歌詞カードでもファンを楽しませてくれること間違いなし。

 さ、そんなことはいいから早くゲームに戻りましょ。そしてゲームができない間はこのサントラを聴きながら街に出てみましょ。そしたらほら、イカ世界にいる気分になってくるはず!

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