近年、日本のジャズシーンと海外のそれにおいて全くタイムラグがなく、むしろシンクロニシティ(共時性/同時発生)といった感が強い。同世代であればあるほど影響を受けた音楽も近く、そこから派生・創造される質感には類似性がある。面白いのはお互いの存在を認識するのが作品を通してであり、故に純粋なシンクロニシティを感じるのである。その好例と言えるのが本アルバム。アメリカと日本という距離も人種も関係ない。尊敬と共感のみをもって融合するサウンド。2つのグループが混在していながらも違和感がなく、1枚のアルバムとして成立している。2018年1月にはブルーノートで2マンライヴがある模様。必見&必聴。
ジャズ、ソウル、ヒップホップをエクスペリメンタルに横断するWONKと、NYのフューチャー・ソウル・バンドのラヴ・エクスペリメントが、ネットを介したデータとテキストのやり取りのみで共作した実験的なアルバム。単独名義の楽曲とコラボ曲が混在するスプリット的な内容で、まず単独で際立つのはWONKの“The World Looks So Brand New”と、ラヴ・エクスペリメントの“Montreal”だ。ライヴ・バンドの躍動感とメロディアスさが発揮された前者と、ジュークを思わせる巧妙なビートに変幻自在なキム嬢の歌声が揺れる後者は、それぞれのスタイルを象徴する曲だろう。そんな双方の持ち味が融合するコラボでは、楽曲自体の良質さを緻密なエディットが飾る“You”や、長塚健斗とキムの歌唱にスポットを当てて甘く絡み合うデュエット“Baby Can't You See”など、お互いの素材の旨味を噛み砕いて引き出し合う様子が見られる。両バンドが実際に対面してのセッションがどうなるのか、続編も期待したい作品だ。