問答無用のカリスマに成り上がったファレルだけど、やっぱり3人揃えば何とやら。久々に集結したN.E.R.Dの音はひと味違った刺激とメッセージに溢れている!!!

なぜ、いまN.E.R.Dなのか?

 『No_One Ever Really Dies』――〈誰も本当の意味では死なない〉というアルバム表題は、もちろんグループ名の由来(というかアクロニム)である。N.E.R.D。ネプチューンズのファレル・ウィリアムズとチャド・ヒューゴが、高校時代からの親友シェイ・ヘイリーと結成したプロジェクトが、そんなセルフ・タイトル的なアルバムを引っ提げて、7年ぶりに帰ってきた。

N.E.R.D No_One Ever Really Dies Columbia/ソニー(2017)

 2001年に初作『In Search Of...』を発表した当時、すでにネプチューンズはトップのクリエイター・チームだったが、当時はまだナードな裏方たちのアーティスト・デビューというニュアンスも強かったように思う。が、スパイモブの演奏による初作の再リリースを挿み、2004年に発表したセカンド・アルバム『Fly Or Die』では、彼ら自身が演奏を担うバンド・スタイルへと形態を一変する。同作からはソリッドなロック・チューン“She Wants To Move”もヒットし、順調なネプチューンズ・ワークスとは一線を画する音楽性の幅広さを見せつけてくれたものだった。

 ただ、その後にファレルがソロ・デビューし、客演でも引っ張りだことなっていくにつれて、N.E.R.Dの明確な存在理由が曖昧になっていったのは確かだろう。4作目『Nothing』(2010年)を最後にバンドの動きは見えなくなっていった。それに前後してファレルとチャドのチーム作業も徐々に減っていき、極めつけの世界的なヒット“Happy”は、恐らくネプチューンズの黄金期を体感していない層にもファレルの知名度とカリスマを広めたに違いない。

 もっとも、2015年に配信されたサントラEP『The SpongeBob Movie: Sponge Out Of Water』では久々にN.E.R.D名義の新曲を披露し、同年の〈サマソニ〉におけるファレルのステージにはシェイがサプライズ登場するなど、前フリのような動きはあった。それでも、なぜいまN.E.R.Dなのか? それが道楽や同窓会じゃないことは、『No_One Ever Really Dies』の内容が示している。