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それぞれの歴史に刻まれる日

――レコーディングに取り組むなかで、チッチさん個人に対する松隈さんのオーダーが変わった点などはありますか?

「変わらず〈ストレートに歌って〉〈チッチらしく歌って〉って言われることが多いんですけど、でも、前回のアルバムくらいから〈ロックなチッチで歌ってみて〉って言われることが増えました。昔は歌えなかったんですけど、ロックが好きだから、いっぱいいっぱいいろんなライヴを観に行って、そうするうちにロックっぽいっていうか、強めな歌い方もできるようになって挑戦したりとか。“PAiNT it BLACK”の時は、喉の調子があんまり良くなくって、ちょっと泣きそうになりながらやってたんですよ、実は(笑)。その時はみんながカヴァーしてくれて良いものが出来たから良かったんですけど、松隈さんのなかで〈この順番で歌わないとチッチは良い歌が歌えない〉って順番があるらしいんですね。私はレコーディングでもライヴでも精神面が全部に表れるタイプなんで、そういうこともけっこう気にしてくださってるんだなって」

――そこから言うと最近のライヴのコンディションはいかがですか?

「何か、凄い最近めっちゃライヴが楽しくて。苦しいけど気持ちいい、みたいな。あと、最近のBiSHはみんなで話し合ってからライヴするんですね。その日にやるコントの内容もちゃんと決めてくし、何か話す人は〈こういう話をするよ〉とか、〈今日はこういうハコだからこうしよう〉とか、調子悪いメンバーがいたら〈ここの部分をどうカヴァーする?〉とか、ちゃんと話すようになったんで、不安要素なくライヴに臨めていて。その安心感みたいなのも個人的にはあるかもしれないです」

――いまはツアーの最中ですし、シングルが出てすぐには〈Warped Tour Japan〉出演もありますよね。

「〈Warped Tour〉凄いですよね。コーンと同じ日に出るなんてヤバくないですか? めっちゃ楽しみです。嬉しい。たぶんメンバーはみんなコーンを知らないと思うんですけど。〈コーン? それ美味しいの?〉とか言いそうなぐらい(笑)」

――(笑)まあ、〈おはスタ〉と〈Warped Tour〉を両立できる人なんてそういないですよ。

「確かに、なかなかおらんですよね……おもしろいな、考えたことなかったです(笑)。〈Warped〉はどう戦うか、めっちゃ緊張してます。でも、めっちゃチャンスだし、アウェイでも最初からどんどんアゲてって、いつものBiSHらしいライヴを披露したいなと思ってます」

――そして5月22日には横浜アリーナでの〈BiSH "TO THE END"〉が控えています。

「はい。横アリは地元の八王子からも行きやすかったんで、小っちゃい頃からよく行ってました。最近だと[Alexandros]とか、昔だとAKBさんとかを観に行ったりしてて馴染みがある場所なんですけど、やっぱりステージ側からの景色は観たことなくて想像もつかないです。ただ、距離は遠くても届くライヴがしたいと思ってます。この前、それまで小さいハコでしか観たことなかったBRAHMANを武道館で観たんですけど、武道館でもBRAHMANはBRAHMANだったんですよ。だから、BiSHも横アリでそういうライヴができたらいいなって」

――会場のスケールとかに囚われないで、自分たちらしくっていう。

「らしくやりたいです。去年の幕張の前も同じ気持ちだったし、幕張は全員が楽しんでるのがわかったから自分も楽しくなれて、だから横アリもそういう日にしたい。うん、楽しむのが一番です、全員が。辛くても〈今日があったから生きていけた〉って思ってくれる人が増えたら嬉しいし、それが横アリと私たちの歴史に刻まれるような日になって、皆さんの人生の〈この横アリが良かった〉の中で、BiSHが一番になりたいと思ってますね」

 なお、今回のシングル・リリースに前後しては、初のラヴソング“Life is beautiful”がドラマ「彼氏をローンで買いました」の主題歌となり、4月開始のアニメ「3D彼女 リアルガール」では爽やかな新曲“HiDE the BLUE”を起用されるなど、いよいよ一回り大きいフィールドでも見つかりはじめたBiSH。別掲のEMPiREなどWACK全体の勢いを牽引する存在としても期待のかかるなか、この6人なら〈TO THE END〉の先を見せてくれることでしょう。