インターネットであれだけモノを言ってきた大森靖子が〈最近のインターネットはほんとクソつまんない〉と言い放ち、表現の場に選んだのが〈本〉であることがまず面白い(いや、インターネットって本当に面白かったのかな)(というこの文もネットに載るんですが)。
しかし表現の場が本になっても、芸術について、性について、生きるということについて、大森靖子の考えはずっと一貫してブレないし、強いし、最後には救いがある。だから本人が〈ゲロ吐いてるだけです〉というように、さまざまな感情が数珠つなぎになって吐き出されていっても、読者はそれをすんなり気持ちよく読み進めていけてしまう。時にはぶっ飛びすぎて賛成しかねること、理解できないことも出てくるが、そんな気持ちを先読みしていたかのように〈自分が正しいなんて思ったことはないです〉と言い切ってしまう。そうして彼女に魅了されてしまう。自己啓発本なんかよりよっぽど膝を打つ金言が満載。