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©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
 

〈映画の主題歌に使われました〉というだけじゃないところが多いので、メチャクチャうれしいですね(福富勇樹)

――Homecomings的には前作にあたるEP『SYMPHONY』(2017年)で音楽的に新しいことに挑戦して、これまでよりも一歩前に踏み出した印象でしたけど、今回の“Songbirds”でそこからさらに外へと羽ばたいた感じもあります。

福富「そうですね。ただ、僕らはいま新しいアルバムを作ろうとしてて、その方向性を考えてた段階で今回のお話をいただいたので、本当はそのアルバムの方向に真っ直ぐ行くはずだったんですよ。“Songbirds”でそことは違うところに行ったんですけど、でもそれが良い道だったという感じで」

畳野「『SYMPHONY』では自分たちが思ってた以上にいままでやってこなかったことがやれたんですけど、“Songbirds”はそのいろんなことを経て原点に戻ってきたみたいな感じがあって。いままで積み重ねてきた要素がギュッとなって、オリジナリティーとしてパーンと出たのが“Songbirds”じゃないかと思うんです。だから新しいことをしたという感じはなくて」

福富「確かに自分らの活動をいったんまとめた感じはあるかもしれない。まとめるつもりはなかったんですけどね(笑)。いままでやってきたことをキュッと絞ったから、あまり考えずにパッとできたのかもしれないし」

畳野「自分たちでも良い曲だなと思える曲が、聴いてくれてる人たちにとってもグッとくる曲なんだという実感もあって。そういうことが自信になってるし、こういう曲が出来たこともすごく自信にもなってるんですよ」

――Homecomingsのお2人は完成した映画をご覧になって、自分たちの楽曲が初めて映画の主題歌としてスクリーンから流れて、いかがでしたか?

福富「僕は公開後に映画館で観たんですけど、それまで自分たちの曲がどういうふうに使われてるのか聞かないようにしてたんですよ。だから、本当に楽しみで、いまかいまかと待ち構えて(笑)。そしたら、エンドロールの2曲目に流していただいてて、さすがだなと思いました。〈エンドロールの2曲目〉というのは“HURTS”の歌詞にもあるし、僕らのなかでは暗黙のキーワードになってるんです」

※〈Before a song end in the credit(エンドロールの2曲目が終わる前に)〉という歌詞がある
 
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――そうなんですね。

福富「アルバムを作るときも、エンドロールっぽい曲を作った後に、もうひとつエンドロールの2曲目みたいな曲を足すみたいなことをやってたので、〈うわーっ!〉って盛り上がっちゃって、鳥肌が……まあ、そのとき僕はもう泣いてたんですけど」

一同「(笑)」

福富「隣の人と目が合ったら、その人も泣いてて(笑)。〈この曲作ったの、僕なんです〉って言いそうになりましたから(笑)」

畳野「うん。自分の曲なのに、すごく良かったです(笑)。映画館で自分の曲が流れる体験も初めてだったし、字幕もちゃんとこだわっていただいて。歌詞を見ながら自分の声、自分の曲を聴いて、私も泣きました(笑)」

――自分の歌を聴いて泣くことなんて、なかなかなさそうですね。

畳野「初めてかも。歌詞が本当に良かったですね」

――“Songbirds”がエンドロールの2曲目に流れるのは、監督が狙ってやったこと?

山田「残念ながら、そこまでバッチリ狙ってでは……すみません(笑)。でも、いまのお話を聞いてストンときました。私、映画は洋画が好きなんですよ。で、エンドロールの曲は2曲あるものだ、とナチュラルに思いこんでいる節がありまして……。その美学を共有できてたことに感動しました。すごくバカっぽい言い方ですけど、2曲あると映画っぽいじゃないですか(笑)」

一同「(笑)」

山田「これはロマンに近いところがあるとは思うんですけど。あと、歌詞の字幕も、大きさとか斜め感とか、ちゃんと洋画の字幕みたいな感じにしたくて、ホントはフィルムのブレも欲しかったぐらいで」

福富「そういう〈映画の主題歌に使われました〉というだけじゃないところが多いので、メチャクチャうれしいですね」