ア・トライブ・コールド・クエスト(以下、ATCQ)のアリ・シャヒード・ムハマドと、LAを拠点に活動する鋭才プロデューサーのエイドリアン・ヤングによるコラボ・ユニット=ミッドナイト・アワー。彼らの日本初公演が、8月31日(金)にBillboard Live TOKYO、9月4日(火)にBillboard Live OSAKAで開催される。
ヒップホップ/ソウル史に輝く軌跡を残してきた2人だけに、両者の邂逅はブラック・ミュージックのファンはもちろん、さまざまなリスナーから視線が注がれている。先日この名義での初フル作『Midnight Hour』が発表されたばかり(国内盤は8月1日(水)にリリース)だが、来日に向けてさらに注目が集まることは間違いない。ここでは、両者のキャリアを振り返りつつ、本公演の観どころに迫る。
まず、アリ・シャヒード・ムハマドは、先述したとおりATCQのDJとして名を馳せ、ヒップホップにジャズを採り入れた第一人者のひとり。ATCQ以外でも、かのディアンジェロ“Brown Sugar”(95年)の共作者として知られており、Q・ティップ&J・ディラとのプロデューサー・チーム〈ウマ―〉のメンバーでもある。また、本人名義のソロ作としては2004年にアルバム『Shaheedullah And Stereotypes』をリリース。グシャっとしたビートの鳴りやロウなスクラッチなどヒップホップ的な旨味と、ソウルフルで温かなムードを合わせた傑作であった。
そしてエイドリアン・ヤングは、さまざまなが楽器を操るマルチ・プレイヤーにして、アナログ録音に精通したプロデューサー。ヴィンテージ機材と古の録音術を駆使しながら温故知新的なソウル・ミュージックを作り上げている。特に、70年代ブラックスプロイテーションのサントラやモリコーネ音楽を彷彿とさせるシネマティックなサウンドには定評あり。代表作『Something About April』(2011年)を筆頭に、数多くのラッパー/プロデューサーがサンプリング・ソースとして彼の楽曲を使っていることからも、その〈モノホン〉なヴァイブスは察せられよう。
そんな2人がタッグを組んで手掛けたのが、Netflixドラマ「ルーク・ケイジ」(2016年)のサントラだった。NYのハーレムを舞台に黒人ヒーローの活躍を描いた同作と、埃っぽいブレイクビーツやジャジーなウワモノが彩るヒップホップ・サウンドとの相性はばっちり。メソッドマンをフィーチャーした楽曲“Bulletproof Love”を収録するなど、ドラマ本編のみならず音楽面でも話題を集めた。
ゆえに、ミッドナイト・アワー名義での初作『Midnight Hour』は、「ルーク・ケイジ」での前哨戦を経て、2つの才能が完全に溶け合ったアルバムと言えるだろう。ラファエル・サディークやシーロ・グリーン、ビラルなど名立たるシンガーも客演。ジャジーで艶やかなソウル・ムードを基調にしつつ、流麗なストリングスや煌びやかな鍵盤打楽器が色味を加えていく、ラグジュアリーなサウンドはまさに極上の一言。先日公開された〈Tiny Disk Concert〉でも、その芳醇さを味わうことができる。
一流に一流を掛けると何になるか? それはきっと〈超一流〉に違いない。猛暑となった今夏の終わり、2人の鬼才が並び立つBillboard Live、答え合わせをしに足を運びたい。
LIVE INFORMATION
アリ・シャヒード・ムハマド&エイドリアン・ヤング The Midnight Hour
2018年8月31日(金)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演19:00
2ndステージ 開場20:45/開演21:30
サービスエリア 7,900円/カジュアルエリア 6,900円
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2018年9月4日(火)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 7,900円/カジュアルエリア 6,900円
★詳細はこちら
■メンバー
アリ・シャヒード・ムハマド(ベース)
エイドリアン・ヤング(キーボード)
ローレン・W・オデン(ヴォーカル)
ジャック・ウォーターソン(ギター)
デヴィッド・ヘンダーソン(ドラムス)
※その他メンバー未定