インタビュー

Tempalay『なんて素晴らしき世界』 新体制となって初の作品で表現する〈何とも言えない違和感〉。その先にあるものとは?

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『なんて素晴らしき世界』とキーワードを共有するさまざまな音世界

UNKNOWN MORTAL ORCHESTRA Sex & Food Jagjaguwar/HOSTESS(2018)

昨年の来日公演時にTempalayが前座を務めたサイケ・ロック・バンドはTempalay結成の端緒となった存在。その最新作はローファイな揺らめきのなかにガレージ/ファンク感を加えつつ、陶酔的な歌とメロディーが美しく浮上する仕上がりに。

 

ドミコ hey hey, my my? RED Project(2017)

企画フェス〈BEACH TOMATO NOODLE〉の共催に始まり、MONO NO AWAREも含む3組で中国ツアーを回った2人組バンドは、〈サイケ〉〈シュールな詞世界〉といったキーワードを共有。だが、それ以上に〈型〉とシーンになかなか当てはまらないアウトロー感覚が近しいような。

 

SUPERORGANISM Superorganism Domino/HOSTESS(2018)

小原が「ライヴも良かった」と語る、東ロンドンを拠点とする男女8人の多国籍バンド。ドラッギーなサウンドにファニーなサンプリングを散りばめた脱力サイケ・ポップは、17歳女子によるラップ&歌/メンバー総出のコーラスと相まって、どこか無邪気な空気感が◎。

 

REJJIE SNOW Dear Annie 300/BMG Rights(2018)

RyohuやTENDERらのサポートもこなすAAAMYYYがさまざまな場で耳にしたというアイルランド発のMC。女声も交えたポップでメロディアスな作風はインディー界隈好きにも刺さりそう。Tempalayファンはアナ・オブ・ザ・ノースを迎えた“Charlie Brown”をどうぞ。

 

久石譲 「風の谷のナウシカ」サウンドトラック はるかな地へ… スタジオジブリ(1986)

最近に限らず、久石譲によるサントラは聴いてきているという藤本。小原と共に、なかでもジブリ関連がお好みの様子だが、ここでは新作の世界観に絡めてこのSF/ファンタジー映画の劇伴集を。電子音楽からオーケストラルなものまで映像的な音世界を楽しんで!

 

坂本慎太郎 できれば愛を zelone(2016)

聴後に〈空恐ろしい感覚〉が残るという意味合いで、『なんて素晴らしき世界』から想起するのがこのシンガー・ソングライターとOGRE YOU ASSHOLEあたり。この2組は、先述の感覚を淡々と/白々とした楽曲構成から浮かび上がらせるという点でも共通している。

 

VARIOUS ARISTS バンコクナイツ EM(2017)

別掲で小原が挙げているサントラでは、Young-GやDJ Kenseiといった日本勢に加え、タイやフィリピンなどのミュージシャンも招いてヒップホップ~EDM~環境音~往年のモーラム/ルークトゥン(共にタイ特有の音楽)を接続。彼の地の猥雑さを音で描き出している。

 

VIDEOTAPEMUSIC ON THE AIR KAKUBARHYTHM(2017)

「バンコクナイツ」のトリビュート企画に坂本慎太郎との連名で参加したクリエイターが示す〈エキゾ〉の再解釈にもモンドな空気のサイケ感が。〈ビデオに記録された音声のサンプリング=過去の痕跡を拾い集める〉という手法もまた、ある意味でSF的。

 

CAN The Singles Mute/TRAFFIC(2017)

『なんて素晴らしき世界』に感じる〈何とも言えない違和感、気持ち悪さ〉は、例えばカンあたりのクラウトロック勢による反復グルーヴがリスナーに与えるあの感覚にも近しいもの。近頃の小原はサントラの他にも民族音楽を聴き漁っていたらしいが、そこからも地続きで聴くことができそう。

 

TRIATHALON Online Broken Circles/Tugboat(2018)

海外のインディー・シーンでTempalay好きにオススメしたいのが、ブルックリン発の3人組による日本デビュー作。ジャケの如く俯き加減なヴォーカルはTempalayと比較してずいぶんナイーヴな印象だ。ベッドルームによく似合う、とろけそうにソフトなサイケ盤。

 

THE FLAMING LIPS Oczy Mlody Warner Bros./ワーナー(2017)

↑とは対照的に、ヴェテラン組からピックしたいのは結成から35年を数えるこのバンド。「時計じかけのオレンジ」な本作のアーティスト写真が示唆するように、危険なまでに幻惑的なサイケデリック・サウンドを浴びたあとに残るのは、そこはかとない寂寥感だ。