新世代ジャズに触発され、洗練を極めたシミュレーショニズムに別れを告げた前作から2年。ヒップホップや英語詞がより身近になった現代の日本のポップス批評をさらなる創造力へ変換した新作は、ペトロールズの長岡亮介、七尾旅人といった才人に加え、KANDYTOWNのRyohuやchelmicoといったラッパーや、WONKの長塚健斗による英語詞曲をフィーチャー。サンプリングや攻めのビートメイクをこれまで以上に顕在化させ、トライバルなベース・ミュージックにRei、エモーショナルなリズム・アプローチの未来的なR&Bにものんくるの吉田沙良を招いたかと思えば、18歳のシンガー、Nazにストリングスのはためくトラップ・ソウルをあつらえるなど、スリリングなポップスの未来を鮮やかに提示している。