来年2019年1月12日(土)に東京・代官山UNITで開催されるライヴ・イヴェント〈DOVETAIL(ダブテイル)〉。出演するのは、昨年~今年にかけてそれぞれがリリースした最新作も話題の5組――WONK、MELRAW、SIRUP、CRCK/LCKS、ものんくるだ。〈JAZZ、SOULフィールドに留まらず、日々進化を遂げる音楽を浴びる新たなイベント〉をテーマに掲げるとおり、本イヴェントではジャズやブラック・ミュージックを軸にジャンルを越境した音楽性でシーンを賑わせている気鋭のアーティストを一挙にチェックできる、ありそうでなかった貴重な機会となるはずだ。
そんな〈DOVETAIL〉の出演陣が開催を前に、TOKYO FMで毎週金曜の27~29時に放送中の番組「RADIO DRAGON-NEXT-」に出演。各バンドからひとりずつ代表者に登場いただく座談会形式で(MELRAWとSIRUP、WONKから長塚健斗、CRCK/LCKSから小西遼、ものんくるから角田隆太が出席)、パーソナリティーを務める菅野結以と11月23日(金)/11月30日(金)の2回にわたってトークを繰り広げる。そして今回Mikikiでは、その模様を計6回にわたって、テキストにて公開していく。オンエアではカットされたこぼれ話も交えて公開していくので、ぜひラジオと併せてチェックしてほしい。
第1回は、〈DOVETAIL〉がどのように発足されたイヴェントなのか、それぞれが音楽を始めたきっかけ、作品制作の秘話を明かした貴重な内容となった。第2回以降は、WONK編、MELRAW編、SIRUP編、CRCK/LCKS編、ものんくる編と、順番に各バンドをフィーチャーした内容となるので、どうぞお楽しみに!
★次回は11月26日(月)公開予定!
ジャズが根本にあるバンドだけでライヴをやったら楽しいんじゃない?(角田)
菅野結以「久々に密集度かなり高めなスタジオになっております。ということで、今回はゲストにこの方たちが来てくれました!」
長塚健斗(WONK)「こんばんは、WONKの長塚健斗です!」
MELRAW「MELRAWの安藤康平です」
SIRUP「SIRUPです」
小西遼(CRCK/LCKS)「CRCK/LCKSの小西遼です」
角田隆太(ものんくる)「ものんくるの角田隆太です」
全員「よろしくお願いしまーす!」
菅野「なぜこの5人に集まってもらったかと言うと、みなさんは来年の1月12日の土曜日に代官山UNITで開催される〈DOVETAIL〉というイヴェントに出演されるということで。今回は各バンドから代表者をお一人ずつお迎えし座談会を行って、親睦を深めていこうじゃないかと」
全員「よいしょー!(拍手)」
角田「むさくるしいなあ(笑)。いちいちうるさい」
菅野「男だらけですからね(笑)。収録が始まる前からずっとしゃべってますけど、みなさんすでに個々に面識はある感じですよね。この番組としては、以前SIRUPくんと小西さんに来ていただいたことがありますけど、後のお三方ははじめましてになります。よろしくお願いします。
で、このイヴェントなんですけど、直訳すると〈繋ぐ〉とか〈ピッタリはめる〉という意味のようなんですが、〈そもそもどのように発足したイヴェントなのか?〉というところからお訊きしたいです」
角田「コレ、角田がいっていいですか? このイヴェントの企画者として、田中シンメイさんという方がいるんですけど、以前、その方と僕と周りのミュージシャン何人かで大井町で呑んだことがあって。そこにいるみんなジャズを通ってきたミュージシャンだったので、話の中でジャズのちょっと深い話になったんです。
で、最近のバンドで、ジャズという皮を被っているけどジャズじゃないバンドがいたり、逆に、ポップスやR&Bという皮を被りながら中身はジャズだ、みたいなバンドもいたりするよね、と。そういう話をしている中で、じゃあジャズが根本にあるバンドだけでイヴェントをやったらめっちゃ楽しいんじゃないの?ということになり。〈それ、やりましょうよー!〉って、呑み会のノリで言ってたら、なんとこのたび実現することになったんですよね」
小西「ことの発端は、呑み会のノリだったんですね」
角田「ノリでしたね。でも、そこに力のある大人がいると……(笑)」
MELRAW「大人、すげー!」
菅野「呑み会は大人とするべき、ということですかね(笑)」
角田「ヤラしい結論になりましたね(笑)」
大阪のバンドは、音楽性の土壌としてジャズやソウルが元々ある気がする(小西)
菅野「みなさんのバンドはそうしてジャズや、R&Bがキーワードとして用いられることが多いと思いますけど、最初からその音楽性だったんですか?」
MELRAW「いつを最初とするかにもよりますね」
SIRUP「僕的には、ジャズはあまりがっつりは通ってきてないんです。ここにいるみなさんのサウンドの周辺のものを聴いてきた感じですね。なので、今回のブッキングは僕としてはおもしろくて」
小西「SIRUPのライヴを観てると思うことがあって――SIRUPは大阪ではSoulflexという先輩バンドとよく一緒にやっているんですけど、Soulflexは同じく大阪の韻シストとかの流れもあって、ジャズとヒップホップ、ソウルを音楽の土台に、歌モノをやっていたりするバンドなんですね。そうやって大阪のバンドには、本人が意識せずとも音楽性の土壌としてジャズやソウルがかなりはっきりある気がするんですよね。元々のDNAに組み込まれているというか。で、SIRUPを観ていてもそう感じることがあるんです」
角田「SIRUP以外の人は、キャリアの最初としてはジャズになるのかな?」
MELRAW「そうですね。各々がいまやってるバンドやプロジェクトというより、個人的には」
小西「俺とMELRAWは完全にジャズ・サックス奏者スタートだもんね。健斗は?」
長塚「音楽のルーツって言われると難しいですけど、小さい頃にヴァイオリンをやってたくらいで。ジャズに辿りついたのは、実は二十歳くらいなんですよね」
小西「そうなんだ。何がきっかけ?」
長塚「実は僕、料理人になりたかったんですよ。なので、音楽は別に真面目にやってなかったんですよ。でもきっかけがいろいろあって、結局音楽をやることになって、そんなときにとあるジャズ・ピアニストに出会ったんです。もう亡くなっちゃってるんですけど、その人に〈お前、ジャズ歌えよ〉と言われて。そこから2年くらいはジャズのスタンダードばかりやるバンドにいました。それこそ西荻窪とかでライヴをやってて」
小西「シンガーとしての最初がジャズだったんだね」
長塚「そうそう。でもその前にちょっとJ-Popも歌ってた時期がありましたけどね。自分がメインとしてちゃんと歌い出したのは、ジャズが最初です」
角田「キャリアを積む前、アマチュアの範囲内ではみんなポップスが好きだったわけだよね」
小西「角田のキャリアのスタートは、ものんくるでしょ?」
角田「俺はジャズ・ベーシストとしての活動が最初だね」
長塚「それが大体いつぐらいですか?」
角田「大学出てすぐなので、8年前くらい。小西とはそのときから一緒で、小西遼カルテットとかに呼んでもらってたし、ものんくるも最初のほうは参加してもらってたし」
小西「うん。ものんくるの創成期はずっと一緒にいて、よく呑んだりもしてたよね」
長塚「あー、だから仲良いんすね」
角田「いや、そんなに仲良くないけど(真顔で)」
小西「やめろっ!」
MELRAW「一瞬、闇が見えてしまった(笑)」
全員「アハハハ(笑)」
普段は往年のジャズをずっと聴いてて、その反動で曲を作る(MELRAW)
菅野「日本の音楽シーン的にも、ジャンルとしてジャズやR&Bがすごく拡がってきている印象があるんですが、当事者としてはみなさんどう思われてますか?」
小西「拡がってきていると感じますね」
SIRUP「僕も感じるっすね……」
(ちょっとした間)
小西「……みんな、なぜそんな〈下〉なムードなの(笑)」
菅野「たしかに。喜ばしいことですから(笑)」
MELRAW「思いっきりオーヴァーグラウンドで聴かれているアメリカなんかと比べると、日本はまだアンダーグラウンド感もありつつだけど、確実に他のジャンルやメインストリームと繋がってきてる感じはあるよね」
角田「それこそさっきの話じゃないけど、僕らはみんなジャズの皮を被らないでやってるから、逆にジャズとして盛り上がってる雰囲気はもう感じないのかな」
小西「ジャズがちゃんとひとつの要素になってる感じ?」
菅野「なるほど。根っこにある、という感じですかね。みなさんは音楽を作る時や活動において、時代性やトレンドは気にしたりしますか?」
小西「俺はするかな」
角田「僕もしますね」
菅野「例えばどういうところで?」
小西「ライヴはちょっと違う話なんですけど、音源として出すときの歌詞や、特に音像は気にしますね。例えば90年代だったら4つ打ちが流行ってるのでとか、そういうトレンドは考えて作ってます」
角田「僕は無意識のうちにアンテナになんとなく入ってくる、程度にしようと思っていて。なので、制作するときにSpotifyで新しいプレイリストを聴きながら作るぐらいの感じですかね」
小西「曲を聴きながら作れるの!?」
角田「音より歌詞ですね。歌詞を考えるときに曲を聴きながらやります」
菅野「へえー。角田さんはヒットチャートとかも聴くんですか?」
角田「聴きますね。適当にプレイリストを選んで、〈最近こういうのが流行ってるんだなー〉と思いながら書く。そうすると、ちょっとだけ濾過されて(歌詞が)出てくるみたいな」
MELRAW「俺は逆に全然聴かないですね。わりと移動中とか家でも、古いのしか聴かないんですよ。キャノンボール(・アダレイ)とか、居酒屋とかでかかってるような往年のジャズをずっと聴いてて、その反動で曲を作ってるんです」
小西「それで逆にトラディショナルな匂いのものが出てこないんだ! おもしろいね」
MELRAW「それこそ音像の話というか、ミックスの段階でアメリカに負けないロー感を出したいとかは考えてたりするから、一応トレンドみたいなのはちょこちょこチェックしてるんだけどね。制作と密接には結びついてないかなと」
ラヴソングの歌詞は、根幹にある想いみたいなものは今も昔も変わらない(長塚)
角田「SIRUPはすごく新しい音楽をやっていると思うんですけど、どうやって作ってるんですか?」
SIRUP「僕も意識して新しい音楽を聴こうとは、まったく思ってないんです。友達の作ったプレイリストを延々と聴いたりとか、そのプレイリストの関連で国別で聴いたりとかはしてるくらいですね。でも普段はヒップホップを聴くことが多くて、やっぱりいまはそこに新しい音が集まりがちなので、そこから刺激をもらってるとは言えます」
MELRAW「WONKは一番ディグってるんじゃない?」
長塚「ディグってますね。メンバーみんな、Spotifyの関連アーティストとかで出てくるものをめちゃくちゃチェックしてて。〈こんなヤツ出てきた〉とかいう話をよくしてますよ。ただ僕個人のことで言えば、制作では音というより歌詞やメロディー担当なんですが、リリックを書くときも最近のアーティストはかなりフォローしてますね。J-Popシーンにいる人たちも含めていまの日本のアーティストや、さらに世界ではどういう歌詞が書かれているのか?とチェックする」
小西「全体を見て、長塚的にはどんな印象なの?」
角田「企業秘密(笑)?」
長塚「(笑)。例えば、ラヴソングに関しては全然変わらないですよ。根幹にある想いみたいなものは昔から変わらない。逆にそういうのってストレートなほうが伝わるというかね。それをいかにちょっと現代の言葉に置き換えて表現するか、というのはどの時代もみんな考えるところだと思うんですけど」
小西「それこそ〈LINE〉みたいな言葉はいましか出てこないわけだよね」
長塚「そうそう」
菅野「まあ、恋愛は普遍的ってことですかね」
長塚「……恋愛の話をしたかったわけじゃないんですけどね。ま、そういうことっすね」
全員「アハハハ(笑)」
MELRAW「この中だと健斗はやっぱり恋愛担当な感じが、ね」
長塚「たしかに、僕いっぱいいい恋してきてるんで(笑)」
角田「じゃ、その話をひとつ……」
菅野「この話もっと掘ります? 10分くらいいきましょうか(笑)」
長塚「やめましょう、一旦次いきましょう(笑)」
★続く第2回は11月26日(月)公開予定!
TOKYO FM「RADIO DRAGON-NEXT-」
毎週金曜日27時~29時に放送中! https://www.tfm.co.jp/dragon/
※放送されたトークはコチラからオンエア日より1週間聴くことができます。
※TS ONE(全国聴取可)にて毎週土曜日20時~22時で再放送有り。
※放送は関東近郊。関東以外の方はradikoの有料コンテンツ、またはWIZ RADIOで聴くことができます。
DOVETAIL
日時:2018年1月12日(土)
会場:東京・代官山UNIT
開場/開演:15:00/16:00
出演:WONK、MELRAW、SIRUP、CRCK/LCKS、ものんくる
チケット:前売4,800円 SOLD OUT
主催・企画・制作:Dentsu Music & Entertainment Inc.、サンライズプロモーション東京、ワイズコネクション
★詳細はこちら
■WONK
長塚健斗(ヴォーカル)、江﨑文武(キーボード/ピアノ)、井上幹(ベース/シンセサイザー)、荒田洸(ドラムス)からなるエクスペリメンタル・ソウル・バンド。新曲1曲を収録したリミックス作『GEMINI: Flip Couture #1』を5月23日にリリース。
http://www.wonk.tokyo/
★WONKがクリス・デイヴの魅力を語ったインタヴュー記事はコチラ
■MELRAW
サックス、フルート、トランペット、
http://www.epistroph.tokyo/melraw/
■SIRUP
大阪出身のシンガー・ソングライター、KYOtaroによるプロジェクト。最新EP『SIRUP EP2』を8月1日にリリース。
http://www.sirup.online/
■CRCK/LCKS
小西遼(サックス/キーボード/ヴォコーダー他)、小田朋美(ヴォーカル/キーボード)、井上銘(ギター)、越智俊介(ベース)、石若駿(ドラムス)から成るポップ・バンド。最新EP『Double Rift』を7月11日にリリース。
http://crcklcks.tumblr.com/
★『Double Rift』リリース時のインタヴュー記事はコチラ
■ものんくる
ジャズを基軸にした独自のサウンドに詩情豊かな日本語詞をミックスした、吉田沙良(ヴォーカル)と角田隆太(作詞/作編曲/ベース)からなる2人組ユニット。最新アルバム『RELOADING CITY』を9月5日にリリース。
http://mononkul.tumblr.com/