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広範囲に渡るフィリップ・ベイリーの参加作

 〈EW&Fの声〉としての存在感がシンボリックすぎるためか、あえてそれを振りかざすような外部仕事は多くないフィリップだが、空間を神々しく彩るようなバック・コーラスやパーカッショニストとしての出番は70年代からジャズ/フュージョン方面を中心に数多い。下に挙げた中では凄腕プレイヤーたちに囲まれてダイアン・リーヴスの歌声を背後から包むアルフォンゾ・ジョンソン“Love's The Way I Feel 'Bout Cha”(76年)や、同じくダイアンの歌唱をヴォーカル・アレンジでも導いたスタンリー・タレンタイン“Only You And Me”(81年)あたりは注目したいところ。ソウル方面では、スキップ・スカボロー経由で参加したブルー・マジックの『Message From The Magic』(78年)にて、パーカッション演奏で裏方としての役割をこなしつつ2曲を共作していたりもする。

 支持層を拡大した80年代半ば以降はケニー・ロギンスからスティーヴィー・ワンダー、杏里、フリオ・イグレシアス、松井慶子までオファーの幅も一気に広がり、今世紀に入ってからもマイペースな外部活動は継続中。ブレイズがEW&Fにオマージュを捧げたハウスの“Breathe”(2002年)、ケニーGがアウトキャストを取り上げた“The Way You Move”(2004年)など興味深い名演も多いなか、旧知のデニース・ウィリアムスと“Love's Holiday”(2007年)を再演していたのも忘れ難い。 *出嶌孝次

フィリップ・ベイリーが参加した作品を一部紹介。