マルーマやスウェイ・リー、クエイヴォとの先行カットから受けた印象は全体の一部だった。久々にミルウェイズと組み、マイク・ディーンやディプロらも続投した新作は、リスボンに住まうなかで吸収したレゲトンやバトゥーカ、ファド、レゲエ、サンバまで多文化の音楽を風情豊かに折衷している。が、そんなテーマを毎度テーマ以上のものに仕立てる本人の感覚にこそ信用と得難い魅力を覚えるわけで、“Like A Prayer”を匂わせながらハウスに発展する“God Control”や丸腰のバラード“Crazy”のような楽曲と並ぶことで、先行曲の哀愁味やアーシーな情緒も最大限に機能してくる。全体の折衷モードを象徴するアニッタとの“Faz Gostoso”もスリリングなカッコ良さ。控えめに言ってもここ数作でのベストだろう。