(左上から時計回りに)シェリル・リン、ネナ・チェリー、トーパズ・ジョーンズ
 

今年は、8月16日(金)~18日(日)の3日間開催となる〈SUMMER SONIC〉。同フェスの東京会場にて、2014年から設置されているのが、Billboard JAPANの名前を冠した〈Billboard JAPAN Stage〉だ。昨年はネッド・ドヒニーやコスモ・パイクといった英米の新旧世代に加えて、世界を席巻するハイアー・ブラザーズやZion.Tといったアジア勢も出演。例年、ほかのステージとは一味違った音楽ファンを唸らせる通なラインナップで人気を博してきた。

※2017年までは〈Billboard JAPAN Party!〉という名前で運営されていた
 

今年の〈Billboard JAPAN Stage〉は例年以上の豪華な面々を揃えていると言っていいだろう。バナナラマやダムドらレジェンダリーなアクトを筆頭に、サンボマスターやKREVA、RIRIといったさまざまな世代の国内勢、加えてプム・ヴィプリットらアジアの注目株もずらり。いずれも〈Billboard JAPAN〉のシビアな審美眼がキャッチしたアーティストだけに、どの時間に覗いても優れたパフォーマンスを味わえること間違いなしだ。

本稿では、今年の〈Billboard JAPAN Stage〉の出演者からシェリル・リン、ネナ・チェリー、トーパズ・ジョーンズの3組をフィーチャー。各アーティストのバイオグラフィー的な情報を簡単に振り返りつつ、フェスでのライヴを楽しむための〈必聴の1曲〉も紹介した。なお、いずれも〈サマソニ〉のみならずbillboard LIVEでの単独公演が決定しているので、たっぷり堪能したい方はそちらもぜひチェックしてほしい。

 

シェリル・リン

いきなり〈必聴の1曲〉を言い切ってしまうと、シェリル・リンといえば“Got To Be Real”だ。78年にリリースされた彼女のデビュー・シングルは、ご機嫌なホーン・セクションと伸びやかでパワフルな歌声がダンサーを魅了する、いまなお色褪せないダンス・クラシック。特にヒップホップ以降は多くの楽曲にサンプリングされ、ここ日本でもEnjoy Music Clubが大胆にトレースしたことで、若いリスナーからも知られるようになった。

ディスコ・シーンの歌姫として華々しく登場した彼女は、“Got To Be Real”以降も数々のフロア・ヒットをドロップ。合わせてTOTOの79年の楽曲“Georgy Porgy”にバッキング・ヴォーカルで参加するなど、ポップ・シーンでも存在感を示した。なお、〈“Got To Be Real”くらい知ってるよ、ばかやろう〉という方には、80年のシングル“Keep It Hot”を紹介しておこう。細やかなギター・カッティングと華やかなストリングスが彩る、こちらも洗練されたディスコ・チューンだ。

 

トーパズ・ジョーンズ

トーパズ・ジョーンズは、スピーディーなフロウが魅力のラッパーで、これまでのいくつかのミックステープやアルバムをリリースしてきた。スレイヴやオーラといったファンク・バンドを渡り歩いてきたカート・ジョーンズを父に持つサラブレッドであり、親の影響もあってか幼少期からプリンスやパーラメントといったファンキーなサウンドに心酔してきたという。また、ジミ・ヘンドリックスやAC/DCなどロック・バンドからも強く影響を受けており、そうしたバックグラウンドを反映した彼のサウンドは、どこかミュータンティックで歪。とはいえ、そうした〈変さ〉を醸しながらも、最終的にはチャーミングなポップとしてまとめあげる手腕は見事だ。本人も影響元に挙げているが、上の世代で言うとアンドレ3000を思わせるような異才のラッパー/プロデューサーと言えるのではないだろうか。

そんなジョーンズの〈必聴の1曲〉は、“Toothache”。2018年のシングルで、グルーヴィーな4つ打ちのビートにダンスせずにはいられない。彼の畳みかけるような語り口も聴き手の心をウキウキさせること請け合いで、アーマンド・ヴァン・ヘルデンがコモンをフィーチャーした“Full Moon”を思わせるラップ・ハウス・チューンだ。

 

ネナ・チェリー

フリー・ジャズを代表するトランぺッター、ドン・チェリーを継父に持ち、ニューエイジ・ステッパーズやリップ・リグ+パニックらポップ・グループ一派の歌姫としてキャリアをスタートさせたネナ・チェリー。ソロとしては、全米3位をマークした“Buffalo Stance”を含む初作『Raw Like Sushi』を89年にリリースし、その後もユッスー・ンドゥールとのコラボやゴリラズへの参加など、ポップ・シーンにおけるカッティング・エッジな存在としてカリスマ性を放ち続けてきた。

そんな彼女ゆえに、代表曲をひとつ絞るとなると難しいが、いまなお音楽カルチャーの最前線にいることを鑑みて、ここは2018年の最新作『Broken Politics』から選びたい。レフトフィールド・テクノの鬼才、フォー・テットが全面プロデュースした同作において、チェリーは先鋭的なサウンドに、歌で艶やかな肉体性を付与している。今回はフォー・テットらしいステッピーなリズムをフィーチャーした“Natural Skin Deep”をチョイス。下記MVのように、潮騒を感じながら心地良く身体を揺らしたい。

以上、駆け足ながら3組と各自の〈必聴の1曲〉を紹介してきた。〈サマソニ〉であれBillboard LIVEであれ、いずれも思わず身体が動いてしまうようなパフォーマンスが予想される。グルーヴィーで華やかな熱帯夜の宴。2019年、最高の夏を掴みとりに足を運びたい。

 


LIVE INFORMATION
シェリル・リン
2019年8月15日(木)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
2019年8月17日(土)
1stステージ 開場15:30/開演16:30
2ndステージ 開場18:30/開演19:30
サービスエリア 12,000円/カジュアルエリア 11,000円
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2019年8月19日(月)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 12,000円/カジュアルエリア 11,000円
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■メンバー
シェリル・リン(ヴォーカル)
ドナルド・ミッチェル(バックグラウンド・ヴォーカル)
バレリー・ピンクストン(バックグラウンド・ヴォーカル)
シャロン・ウォレス (バックグラウンド・ヴォーカル)
ローランド・ハミルトン(キーボード)
ジェローン・ハワード(キーボード)
グレゴリー・ムーア(ギター)
ローソン・ターナー(ベース)
ロン・オーティス(ドラムス)

 

トーパズ・ジョーンズ
2019年8月16日(金)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 6,800円/カジュアルエリア 5,800円
★詳細はこちら

 

ネナ・チェリー
2019年8月19日(月)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 8,900円/カジュアルエリア 7,900円
★詳細はこちら