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お酒との付き合い方

――本日はよろしくお願いします。大堀君に説明しておくと、連載のタイトルは〈見汐麻衣の死ぬまで生きよう!〉です。

見汐麻衣「死ぬまで生きていくなかにはいろいろな……悲喜こもごもがあるでしょ? 〈悩み〉って一言でいっても、苦しいことばっかりではないと思うんです。うれしいことにも〈どうしよう〉って悩むこともあるし。今回の悩みは、実はもう大堀君のなかで解決したことなんでしょ?」

――今回は〈お酒を呑みすぎて人に嫌われてしまう〉という相談です。

大堀晃生(Taiko Super Kicks)「そう。ある特定の、〈ちゃんとしてる人〉に嫌われてしまうんです」

見汐「〈ちゃんとしてる人〉ってなんだろうね(笑)。常識的なこと? お酒の呑み方? 〈この人とは呑んでても全然グルーヴが合わねぇな〉とか?」

大堀「音楽っぽくなりましたね(笑)」

見汐「例えばどんなことがあったの?」

大堀「初対面でも感じよく呑める人もいるじゃないですか? でもオラついてたり、イキってたりする人だと僕のことを〈酔っ払って調子に乗ってる〉って決めつけてくるんです。そう感じると、ダメだってわかりつつ絡んじゃう癖があって。最近はそこまで酔うこともないんですけど」

見汐「最初の入りがさ、すでに酔っ払ってるからじゃない? 大堀君、初対面の時〈みっしおさ〜ん!!〉ってグイグイくるノリだったから、こっちはさ、スンって、少し引いてましたよ(笑)」

大堀「いきなり〈ワインおごって!〉ってせがみましたよね(笑)」

見汐「ほんとうに失礼な人って、そういうことじゃないからさ。例えば、まったく知らない人から〈パーン!〉ってお尻を叩かれて〈おい酒おごれよ!〉って言われたら、〈いやいや……あなた誰?〉ってなるけど」

大堀「人と会う時って大体酔ってないですか? ライヴハウスとか、仲良くなりたい人がいる所って絶対にアルコールがあったり、音楽が鳴ってたりするんですよ。でも僕がヤバいのかな、イキってたのかなってめっちゃ思ったんです」

見汐「毎日お酒呑むの?」

大堀「全然呑まないっすね」

見汐「自分なりにお酒との付き合い方、ルールを作ってみたらいいんじゃない? 私は普段からお酒をたしなむ方なので、毎日通うお店はまた別だけど、それ以外では自分の呑み方をある程度は考えるようにしてるよ」

――〈自分はこれくらい呑んだらこうなる〉とか。

見汐「そうそう。〈今日はこういう場所だから、こういうお酒は呑まないでおこう〉とか」

大堀「めちゃくちゃ大人じゃないですか!?」

見汐「(笑)。そもそも、これまですっごいいっぱい失敗してるし。人生の半分、ほぼ毎日呑んでるわけ。だからお酒の、〈相手〉のことをわかってないとさ。自分の身体に入ってくるやつのことをわからないと呑めないよね」

Taiko Super Kicksのアーティスト写真。左から2番目が大堀

――大堀君の失敗談を聞きたいです。

大堀「以前、付き合ってた人の先輩と呑んだことがあったんです。その時ベロベロに酔っ払っちゃって、先輩が話してる時にその人が持ってたギターを僕が弾こうとしたらしいんです。それで、その先輩がめちゃくちゃ怒っちゃって。店を出た後、彼女にすごい勢いで押し倒されて、もみくちゃの喧嘩になりました。僕は怖くて〈警察呼ぶぞ!〉って大声で言ったらしいんです。……お酒を呑むと関係性とかを読み取れなくなってしまうんですよね」

見汐「私もそういう失敗、大人になってからもありますよ。仲良いと思ってたのに、意外と距離感がある人だったとか。酩酊すると関係性と距離感を測り間違えるって経験はいっぱいある。自分の本質が出る瞬間でもあるし……。その度に自己嫌悪の繰り返しですよ」

大堀「でも、お酒って関係性を曖昧にしますよね」

見汐「そうだね。自分が度を越えたこと話してるのがわかんなくなる時はある。それが相手にとって失礼だったり、傷つけてたりすることもわからない。でも、おんなじことを言っても大丈夫な人もいるし……。だからとにかく、最近は馴染みじゃない人と呑む時は気をつける、余計なことをしゃべらない、っていうのだけ私は決めてます。サシで、一対一で呑むことは多い?」

大堀「あんまりないですね」