Page 2 / 2 1ページ目から読む

長年に渡る愛の証……主要なアルバムと近年の関連ワークス

 10年代に入ってからMitsuが手掛けた印象的なプロデュース/リミックス仕事となると……まずは奥村晶のトランペットを迎えて内省のジャズを奏でた般若“存在”が思い出されるし、泉まくら“baby”の快いラウンジ・ボッサ、TWINKLE+“Midnight Run(TYO)”の真夜中漆黒ビートも忘れ難い。また、加山雄三の企画盤『加山雄三の新世界』での“君といつまでも(Together forever Mix)”はECDの勇姿と共にチェックされたい名仕事。リミックスではPUSHIM×韻シストや「血界戦線&BEYOND」収録曲があり、後者の縁は岩崎太整とTVドラマ「dele」サントラの共同制作に繋がった。近年では梅田サイファーやLeon Fanourakis、D.D.Sなど意外な後進との手合わせも多く、今後も楽しみになってくる。

 


DJ Mitsu the Beats NEW AWAKENING PLANETGROOVE(2003)

GAGLEが評価を高めるなかで届いた初ソロ作。海外MC勢を迎えたジャジーなラップ曲メインの前半、ブロークン・ビーツや歌モノにアプローチした野心的な後半という構成で、特にドゥウェレを迎えた“Right here”が絶品だ。Mahyaとマーク・ド・クライヴロウはこの時点で参加。

 

DJ Mitsu the Beats A WORD TO THE WISE PLANETGROOVE(2009)

ヒップホップ色を濃くした6年ぶり2作目。ジョージア・アン・マルドロウやLMNO、エルザイら海外勢との好相性は変わらず、ホセ・ジェイムズの歌う“Promise In Love”は後にホセ側のアルバムにも収録された。続投のマーク・ド・クライヴロウや金子巧が活躍するインスト群にも注目。

 

DJ Mitsu the Beats UNIVERSAL FORCE PLANETGROOVE/Village Again(2010)

GAGLEでコンスタントに作品も重ねつつ、全曲で初めて日本のアーティストだけをフィーチャーしたコンセプチュアルな3作目。Zeebraとの“One Hip Hop”を筆頭に、S.l.a.c.k.、TWIGY、ICE BAHN、B.Dらが集まっている。Hungerと環ROYのコラボ“昂サバイヴ”が聴きもの。

 

DJ Mitsu the Beats CELEBRATION OF JAY Jazzy Sport(2014)

今回のインタヴュー本文にもあるように、彼に多大な影響を及ぼしたディラの、生誕40周年というタイミングで制作されたビート・アルバム。カヴァーや模倣ではなく、ディラの影響下にある自身の姿そのものを捧げるというモードのもと、Mitsuらしいファットなサウンドが楽しめる。

 

DJ Mitsu the Beats Beat Installments Vol.4 Jazzy Sport(2016)

2012年に第1弾をリリ−スしたビート・アルバム『Beat Installments』シリーズの現時点での最新作がこちら。雰囲気は回ごとに異なるが、ここではコズミックでスペイシーな雰囲気のトラックが際立ち、切り口の滑らかなジャズやファンクをシャープに接合したようなタイトさが心地良い。

 

GAGLE Vanta Black Jazzy Sport(2018)

現時点での最新作にあたる通算6枚目のフル・アルバム。本文にもあるようにテクノに傾倒していた時期に編まれただけあって、ダビーでスペイシーな音像処理を施されたビートがグループのサウンド・イメージを一新して話題を呼んだ。このテイストの続きも聴いてみたいところだ。