EASTOKLAB日置逸人の極私的金字塔

Tennis『Ritual In Repeat』夫婦ならではの呼吸から生まれる、全ての音と歌の完璧な調和

Tennis『Ritual In Repeat』夫婦ならではの呼吸から生まれる、全ての音と歌の完璧な調和

ドタバタしていた先月から一転して、2月はゆっくりする時間が随分とあった。部屋を片付けたり、制作スペースを整えたり、レコーディング機材をメンテナンスしたり、本を読んだり、後回しにしていたことを一気に片付けて、好きなバンドの新譜をじっくり聴いたりもした。

Tame ImpalaとかPoliçaとか、邦楽だとsleepy.abとか、どれも本当に素晴らしかった。

それに加えて、大好きなTennisの新譜もリリースされていた。Tennisは3rd『Ritual In Repeat』が特に好きで、メンバーもみんな好きなバンドだ。好きな曲を遊びでコピーしたこともあるし、よく移動中の車でも聴いている。

そんなわけで、Tennisの新譜について書こうかなと思っていたけれど、やっぱり一番に好きなアルバムは3rd『Ritual In Repeat』なので、このアルバムについて書いていこうと思う。

TENNIS Ritual In Repeat Communion(2014)

Tennisを知ったのは名古屋のラジオ局に呼んでもらった時だった。収録の担当だった方に〈きっと好きだから聴いてみな〉と勧めてもらい、2nd『Young & Old』を聴いたことをよく覚えている。軽やかでキラキラしているのに、何処か切なくもあって、しっかりと王道なのに他では代えの利かない心地よさに強く惹かれた。

それから間もなくリリースされたのが、3rd『Ritual In Repeat』だ。初めて聴いたときは衝撃的でM-1“Night Vision”に一瞬で耳を奪われてしまった。いつ聴いても本当に素晴らしい。

やや重めのイントロ〜ヴァースは完全にワンコード。コーラス部分でそこまで抑えていたコードが展開して、メロウな歌がグッと迫ってくる感じ、優勝。それでいてビートメイクは飽くまでミニマル。とてもシンプルだけれど、あまりにも絶妙で、なかなか出来ない発想だと思う。

本当に大好きな曲で、よくメンバーとも聴いている。イージーリスニングすれば心地よく、じっくり聴けば底なしに奥深い。シンプルな構造の中にいくつもトリックが隠されていて、僕らが音楽を作る上でも大きな影響を受けている。

どの曲も大好きだし、トータルのアルバムとして完璧なんだけれど、他に好きな曲を敢えて挙げるのであればM-4“I’m Callin”だろうか。

この曲もミニマルでメロウなTennisの魅力が全開。音数は最小限に、ビートメイクはミニマルに、けれども絶妙な音のバランスに自然と身体が揺れてしまうし、何故だか妙に切ないし、とにかくスタイリッシュで洗練されていて、でも人間の鳴らしている音がしっかり鳴っている。

コードとビートの僅かな変化で一気に景色が変わるこの感じ、サラッと聴いていたら気づかないようなバランスの取り方、天才的だと思う。

最後にTennisの結成のきっかけがとても好きなので、それを。Tennisはアメリカ在住の夫婦なのだけれど、元々は大学で知り合い、卒業後に2人で船旅に出て、帰国したあとにその体験を音楽にして残そうと始まったものらしい。

音楽を作る動機として、とてもピュアで美しいものだと思うし、全ての音と歌が完璧なまでに調和されているこの感じは、きっと夫婦ならではの呼吸から生まれるものなんだと思う。

まだまだ寒い日が続いているし、ニュースは新型ウイルスで持ちきり。楽しみにしていたイベントも中止になってしまった。色々なことが止まってしまっているみたいだけれど、外に出れば少しだけ春の匂いがしていて、ちゃんと時間は進んでいることがよく分かる。きっと、春はそこまで来ているから、毎日の僅かな変化を見逃してしまわないように、このアルバムを聴きながら心と身体を揺らして、みんなで笑って会えるような春を待てたらそれがいい。

 


RELEASE INFORMATION

EASTOKLAB EASTOKLAB DAIZAWA(2019)

恍惚に満ちたファルセットボイス
ダイナミックなアンサンブルで美しさを描く
退屈を撃ち抜く鮮やかなデビューアルバム完成!

EASTOKLAB
Debut Mini Album『EASTOKLAB』
2019.06.05(Wed)Release
UKDZ-0200 ¥1,700(w/o tax)
DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT inc.

1. Fireworks
2. In Boredom
3. Passage
4. Always
5. New Sunrise
6. Tumble

 


LIVE INFORMATION
DREAMWAVE Vol.1 -Day 1-
2020年3月7日(土)愛知・名古屋 DAYTRIP
OTOEMON FESTA 2020
2020年3月21日(土)大阪・福島 LIVE SQUARE 2nd LINE
PLAY VOL.88
2020年3月23日(月)東京・渋谷 La.mama
ユレニワ “ピースの報せ” Release Tour
2020年3月25日(水)愛知・名古屋 HUCK FINN
SEAPOOL “Kiss The Element” RELEASE TOUR 2020
2020年4月24日(金)愛知・名古屋 CLUB ROCK’N’ROLL
ravenknee × gato split tour “Unite 9”
2020年4月30日(木)愛知・名古屋 Live & Lounge Vio
★各公演の詳細はこちら

【プロフィール】
日置 逸人

日置 逸人 (ひおき はやと)

EASTOKLABのヴォーカル/シンセサイザー/ギターを担当。バンドの他に、WD SOUND WORKSでレコーディング・エンジニアとしても活動する。2019年6月5日、DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECTよりミニ・アルバム『EASTOKLAB』をリリース。

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