EASTOKLAB日置逸人の極私的金字塔

Copeland『You Are My Sunshine』人生を変えられたこの1枚には〈不自然〉と〈洗練〉が奇跡的に同居している

Copeland『You Are My Sunshine』人生を変えられたこの1枚には〈不自然〉と〈洗練〉が奇跡的に同居している

近所のスーパーに買い物に行くだけで汗が噴き出してくる。今年の夏はやたらに暑い。毎年そう言っているような気がするけれど、今年こそはマジでヤバイ。とかそんなことも毎年言っているような気がする。それでも買い物には行かなければならないし、小さな部屋は熱がこもってすぐに暑くなってしまうから、どこにいたって夏は苦手だ。そんなことを考えながら汗を垂らしてスーパーへと向かった。

早々に買い物を済ませ家路を急ぐ。レジ袋が有料になってからというもの、いつも「あ、いりません」と言ってしまう。とはいえ今日はもらえばよかったな、なんて思いながら両手でギリギリ持てる量の食材を抱えて歩いた。

店を出た時は微かに降っている程度だった雨が急に強まってくる。トボトボと歩いていると、それはすぐに物凄い豪雨になった。

雨宿りをしようと屋根がある場所まで走ったけれど、ものの数秒で頭から爪先までビショ濡れ。レジ袋をもらわなかったことを後悔しつつ、もうこうなったらいくら濡れても変わらないかと雨の中をゆっくりと歩いて帰った。通り雨なのか空の奥には太陽が輝いていて、ビッシリと視界を覆う雨の隙間から見えるそれがとても綺麗だった。

家に着くなりシャワーを浴びて、汗と雨で汚れた身体を洗う。洗っても洗っても汚れが落ちないような気がして、もしかしたらそれは心の汚れだったのかもしれない。髪を乾かして、今日は夕飯を食べるのも億劫だなと買ってきた食材を冷蔵庫にしまい、いつもの習慣のようにPCの電源を付けて適当に音楽をかけた。

スピーカーからは昨晩聴いていたCopelandの『You Are My Sunshine』が流れている。さっき見たばかりの雨の隙間から見えた太陽とよく似ていると思った。とても綺麗だった。

序文が長くなってしまった。この連載を始めて1年以上が経ち、時々サボったりしてしまいつつも、自分の好きな音楽や自分の考えていることをまとめる大切な場所になっている。

連載が始まったキッカケは、この連載を担当してくださっている天野さんにインタビューを受けたことだった。好きなアルバムを5枚選んで持っていき、それについて話しながらルーツを探るという内容で、とても楽しかった。インタビューを終えた後、好きなアルバムについて語りまくってしまった僕に「Mikikiで他にも好きなアルバムのことを書いてみない?」と声をかけていただき、そこから今に至っている。

Copelandのこのアルバムはその際に持っていった5枚にも含まれていたもので、マジでガチのマヂな僕のフェイバリットだ。音楽をやっている人なら誰もが人生を変えられた1枚というものがある思うけれど、まごうことなく完全にそれ。

上記のインタビューでもサラッと話しているけれど、とにかくメロディーが最高で、鳴っているコードやビートの全てが素晴らしい。とはいえ、ただただメロディーがいいなんてものでは全くなくて、コードやビートはもちろん全体の音像がひたすらに素晴らしいからこそ、メロディーが最高なのだと思う。

いつもは数曲をピックアップしてそれについて書くことが多いけれど、このアルバムに関しては全曲ピックアップしちゃいたくなるので今回は割愛して1番好きな曲を。

最高。。。ベースの音がひたすらカッコよすぎるし、スネアの音もヤヴァイ。サウンドの中心に構えるピアノも繊細さと大胆さが同居していて惚れ惚れとするし、後半の女性ボーカルなんて全身鳥肌級のよさ。どの角度から見ても僕にとって最高な1曲で、きっと死ぬまでずっと聴き続ける曲、アルバムなんだと思う。

ミックスに関してもアナログとデジタルが絶妙に混ざり合った独特の質感がスリリングで、そのサウンドディレクションは切迫感や美しさを100%以上に引き立てているように感じる。

随所にみられるホーンセクションからコーラスまで、その全てが美しい圧巻の傑作だ。

ボーカルのアーロンがこのアルバムのサウンドについて「不自然で掴み所のない洗礼された音」と話しているように〈不自然〉と〈洗練〉という両極端なものが完全なまでに混じり合って産まれた、奇跡のような1枚。他の曲もいい、というよりもアルバムの全てが本当に素晴らしい。何だか素晴らしいなんて言葉で表すことさえ違うような気がするぐらいに。最高とか、オーサムの更に上。言語では表せないレベルの良さ。好きさ。僕にとってそんな作品なので、この記事を読んで興味を持った方がいたら是非ゆっくり聴いてもらえたらいいな。

すっかり止んだ雨の後、空には綺麗な虹がかかっていて、その景色もこのアルバムによく似ていると思った。1曲目から順に聴きながら書いていたのだけれど、ちょうど今、最後の曲が終わったところ。リピートしようかなと思ったけれど、やっぱり今日はもう何も聴かないことにする。終わってしまった後も、胸の中に暖かさが残っているような感じがしているから。

部屋には空調の音とキーボードを打つ音だけが響いている。もうじき外は暗くなって、きっとジメジメとした暑い夜がやってくる。

やっぱりもう1回だけ聴いてみよう。次は歌詞を読みながら聴いてみるのもいい。きっとまた新しい発見があって、それに興奮している自分が目に浮かぶ。そうやってこのアルバムに沢山の感動をもらって僕は音楽を続けられている。

 


RELEASE INFORMATION

Digital Mini Album『Fake Planets』
品番:UKDZ-0209
価格:1,681円(税込)

TRACKLIST
1. Contrail
2. Rainbow
3. Stud
4. Hug
5. Farewell
6. Living
7. Ten
8. Dive

 

EASTOKLAB『Fake Planets』はライブ会場、タワーレコード名古屋パルコ店ほか限定店舗およびオフィシャル・ウェブストアでCDが販売される。ケースは全7色。購入特典として未収録曲“Everything”のダウンロード・コードを封入。詳細はこちら

 

LIVE INFORMATION

PEOPLE AND ME 2020
2020年9月6日(日)愛知・名古屋 Stiff Slack
開場/開演:​17:00/18:00
出演:EASTOKLAB/The Skateboard Kids
前売り:2,500円(ドリンク代別)
ご予約:
https://eastoklab.com/
http://www.stiffslack.com/

Plot Scraps “INVOKE TOUR 2020”
2020年11月9日(月)愛知・名古屋 CLUB UPSET
2020年11月12日(木)福岡・天神 Queblick

【プロフィール】
日置 逸人

日置 逸人 (ひおき はやと)

EASTOKLABのヴォーカル/シンセサイザー/ギターを担当。バンドの他に、WD SOUND WORKSでレコーディング・エンジニアとしても活動する。2019年6月5日、DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECTよりミニ・アルバム『EASTOKLAB』をリリース。2020年6月3日(水)、デジタル・ミニ・アルバム『Fake Planets』をリリース。

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