このブログ〈EASTOKLAB日置逸人の極私的金字塔〉は、EASTOKLABがファーストアルバム『EASTOKLAB』でデビューした2019年6月に第1回を掲載し、それから3年弱続きましたが、残念ながら今回が最終回になります。これまで読んでくださった読者のみなさま、ありがとうございました。EASTOKLABと〈Hayato Hioki〉としてソロ活動を続ける日置逸人さんには、ぜひ今後もご注目ください。そして、日置くん、いつも素敵な文章をありがとうございました! *Mikiki編集部


 

子供の頃、名古屋という街を果てしなく遠い場所だと思っていた。今でこそ名古屋に住んでいるし(端っこすぎて友達によく「名古屋じゃないやん」と言われる)、東京だってそんなに遠くないような気がしてしまうけれど、当時の僕にとってテレビや雑誌で見る名古屋という街はあまりに巨大で人が多く、自分が行ける場所だなんて思ってもいなかった。

とはいえ高校に入ったら、普通に名古屋に行けるようになった。電車に乗ったら20分程度で、めちゃくちゃ簡単に行けると知った。地元のショッピングモールにこの世の全てが存在しており、世界の多くは田畑で構成されていると思っていた僕にとって、名古屋という街はあまりに刺激的で、あまりに洗練されていて、そして信じられないくらい汚かった。

僕の地元にはライブハウスが2つあって、高校生になってからライブハウスに通いはじめた僕にとっては、その地元のライブハウスに出演しているバンドが身近な音楽の全てだった。

僕自身もバンドを始めて、そのライブハウスに出演するようになり、アルバイトも少しもした。色々なことを教えてもらって、それから名古屋でもライブをするようになった。それが16とか17とか、それぐらいのこと。

田舎コンプレックスなのか、名古屋はバンドもレベルが違うと思っていたものの、そこに関してはそんなこともなく、全然大した事ないじゃんと完全に調子に乗り、普通に名古屋でもライブをするようになっていった。

そんな頃、名古屋のライブハウスCLUB ROCK‘N’ROLLでtigerMosというバンドと対バンした。あまりにもカッコ良すぎて衝撃的だったし、自分のやっている音楽が恥ずかしくなってバンドを辞めようと思った。

サブスクなどで聴けるオープンな音源があったりなかったりなのもあって、ずっと書けていなかったけれど、今回が最終回とのことなので!!書いてみることにした。

それまでギターロック的なアプローチのバンドしか生で見たことがなかった僕にとって、tigerMosの音楽はあまりに新鮮で、高度で、複雑で、そして美しいものだった。

名古屋にこんなバンドがいること然り、人間ってこんな音楽を作ったり演奏したりできるんだ!と本質的な感動に出会うことができた。今好きな音楽の多くも、tigerMosを好きになったことをキッカケに知っていった。

それからたまにしかないライブを何度か見に行って、自分もこんなふうに音楽をやってみたいと思い、当時やっていたバンドを辞めて、EASTOKLABの前身となるThe Skateboard Kidsを始めた。

余談ながら、ドラムの田保くんもtigerMosが好きで、出会った時はtigerMosの話で意気投合したし、一緒にライブを見に行ったりもした。

このセルフタイトルアルバム『TIGERMOS』のリリース後、ほどなくしてtigerMosは活動をシレっと終了してしまい、もう見れなくなってしまった。

tigerMos 『TIGERMOS』 MAGNIPH(2015)

でも、今でもあの日初めて見たライブが目に焼き付いているし、アルバムを聴けばいつだって、その感動や熱に触れることができる。

全然音楽的な事を書けていないけれど、本当に大好きで、ヤバくて、美しくて、最高。

メロディーもアレンジも演奏も佇まいも、そのどれもが本当に素晴らしかった。こんなこと言っても仕方ないけれど、今も続いていたとしたら世界が変わってたかもと勝手に思っている。それゆえに決して長くはなかった活動の間で偶然何度かライブを見ることができて本当によかったし、あの日のライブを見ていなければ、今の自分もきっとありはしないと思う。

最終回ということで、なんだかんだ20回ぐらい書いてきたこのブログも終了です。めちゃくちゃ不定期なこのブログを読んでくれていた方々や、好きに書かせてくださったMikikiの皆さん、また校正を担当してくれていた天野さん、本当にありがとうございました。

ブログを書くのってちょっと大変だなとか思った瞬間も多々あったのですが、いざ終わるとなると寂しくなったりするのが人間の性ですね。

また文章は書ける場所で書いたりできたらと思いますし、EASTOKLABも色々と改革しながらネクストステップへ向けて邁進中。僕のソロもアルバムが近々出るらしいとか!

期待して待ってて!

 


RELEASE INFORMATION

Hayato Hioki 『Lost Village』 DAIZAWA/UK.PROJECT(2022)

リリース日:2022年4月27日(水)
品番:UKDZ-0228
価格:1,222円(税込)
配信リンク:https://hayatohioki.lnk.to/LostVillage

TRACKLIST
1. Blessing
2. Harvest
3. Upheaval
4. To Leave
5. Cave In
6. Red Rust
7. Void
8. No Signal

 

EASTOKLAB 『Ai – Bedside Remix』 DAIZAWA/UK.PROJECT(2022)

リリース日:2022年1月19日
品番:UKDZ-0220
価格:1,069円(税込)
配信リンク:https://eastoklab.lnk.to/AiRemix

TRACKLIST
1. Sapiens – Bedside Remix
2. 秘密 – Bedside Remix
3. 虹の袂 – Bedside Remix
4. Ai – Bedside Remix
5. Hurts – Bedside Remix

 

EASTOKLAB 『Ai』 DAIZAWA/UK.PROJECT(2021)

リリース日:2021年11月10日(水)
品番:UKDZ-0219
価格:1,069円(税込)
配信リンク:https://eastoklab.lnk.to/Ai_

TRACKLIST
1. Sapiens
2. 秘密
3. 虹の袂
4. Ai
5. Hurts

 

LIVE INFORMATION
- HENN -
[MANIA MARKET × 水中スピカ] Live and Talk

2022年4月10日(日)愛知・名古屋 stiffslack venue
開場/開演:12:00:16:00
■ライブ
水中スピカ/ceros/EASTOKLAB
■トークショー
水中スピカ
MC:Kiichiro(MANIA MARKET)
ゲストMC:ひらめ(arne)
前売り/当日:3,000円/3,500円(いずれもドリンク代別)
http://www.stiffslack.com/venue/202204.html?date=20220410