EASTOKLAB日置逸人の極私的金字塔

ACO『irony』全ての音がこの美しい音楽のためだけにある――衝撃と感動を与えてくれた大切なアルバム

ACO『irony』全ての音がこの美しい音楽のためだけにある――衝撃と感動を与えてくれた大切なアルバム

もう3月になっていた。まだ少し肌寒いけれど花粉で目と鼻が瀕死になっていて、何となく春の匂いがする日もある。なんて呑気に毎日を過ごしていたら3ヶ月も更新をサボってしまった。すみません。とっても元気です。

寒い時期は極端に静かなものを聴きたくなるのか、今年の冬はアンビエントとかエレクトロばかり聴いていた。たしか去年もそうだった。

そのなかでもACO『irony』を何度も繰り返し聴いた。このアルバムにはひたすら影響を受けて、去年リリースした最新作『Fake Planets』のインタビューでもMikikiで少し話をした。

大好きなアルバムACO『irony』について。

このアルバムを知ったのは一昨年の秋ぐらいだった。友達の車に乗った時に小さく流れていたその音が、とても印象的だったのをよく覚えている。高域のノイズのような音が鳴って、カーステがぶっ壊れてるのかと思った。

友達に「これ誰?」と尋ねると、「ACOの『irony』ってアルバムだよ」と言う。ACOのアルバムは『absolute ego』をいつか聴いたことがあったから「え? こんな感じだっけ」とそのときは思っていた。

家に帰って一人で聴いてみると、今まで音楽では届かなかった身体の隅にまで、血が巡るような感覚になった。

音楽を演奏したり聴いたりする頻度が増えれば増えるほど、音楽で感動したりすることは減ってくるのかもしれなくて、昔スマパンを聴いてひっくり返ったこととか、初めて友達とニルヴァーナをコピーして「ロックってヤベー!」ってなったりしたこととか、そういう衝撃みたいな感覚はあんまりなくなるときがある。

なんか打算的になってしまうというか、ここが何々でいいなぁとか、そういうことも考えてしまうからかな。でも、このアルバムはそんな全てを飛び越えて、音楽で衝撃を受けるあの感じを久しぶりに与えてくれた。初めて聴いたときから、音も、声も、空気も、そのどれもが心にピッタリと張り付いて離れなかった。

“町”という曲が特に好きで永遠に聴き続けた。

音数も少なく、音の質感もとても柔らかい。けれどそれが曲になって立ち上がると、とても鋭く胸の奥を刺してくる。落ち着いた気持ちにもなるけれど、とても苦しい気持ちにもなって、好きというのはもちろんだけれど、それよりもこのアルバムが必要って感じだった。

それは今も変わらないし、たぶんこれからもそうなのかもしれないと思う。

音楽的にもかなり雑多なサンプリングがされているのだけれど、それが小さな箱に収まるようなサイズで、とても美しく整頓されている。そして外から見ると小さいように見えるそれは、中に入るともの凄く深くて広い。

囁くように歌う声も、切迫感のあるボーカリーズやノイズも、アンビエンスも、全てがこの音楽のためだけにあるようなものに思える。

何より、大ヒットした『absolute ego』のようなアルバムを経てメジャーの舞台からこのアルバムをリリースしたということも含め、全てが美しいアルバムだと勝手に思っている。

余談ながらエンジニアとしてレコーディングやミックスをする際も、スピーカーのチェックでよくこのアルバムの曲を流している。縦横のレンジが広いうえに、普段めちゃめちゃ聴いてるのもあって、これを聴けばとスピーカーやヘッドホンのことがだいたい分かる。

たまたま友達の車でこのアルバムが流れていなかったら、きっと僕自身も今とは変わっていたなぁと思う。そんな僕にとってとても大切で、本当に大好きなアルバムについてでした。

今年こそ飛躍すんぞ!ってことで年明けから細々と作業をしていたので、それも近々お知らせできるかもしれない。何だか大変な世の中だけれど好きなものがあって、それだけでいいなと最近よく思います。では!

 


RELEASE INFORMATION

Digital Mini Album『Fake Planets』
品番:UKDZ-0209
価格:1,681円(税込)

TRACKLIST
1. Contrail
2. Rainbow
3. Stud
4. Hug
5. Farewell
6. Living
7. Ten
8. Dive

 

EASTOKLAB『Fake Planets』はライブ会場、タワーレコード名古屋パルコ店ほか限定店舗およびオフィシャル・ウェブストアでCDが販売される。ケースは全7色。購入特典として未収録曲“Everything”のダウンロード・コードを封入。詳細はこちら

 

 

LIVE INFORMATION
PEOPLE & ME EXTRA
2021年4月9日(金)愛知・名古屋 stiff slack venue
開場:18:00
ライブ: Hayato Hioki
DJ:Daiki oka/Daisuke Nishio
フード:Yuki Tabo
料金:1,800円(ドリンク代込)
https://eastoklab.com/live/people-me-extra-2/

【プロフィール】
日置 逸人

日置 逸人 (ひおき はやと)

EASTOKLABのヴォーカル/シンセサイザー/ギターを担当。バンドの他に、WD SOUND WORKSでレコーディング・エンジニアとしても活動する。2019年6月5日、DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECTよりミニ・アルバム『EASTOKLAB』をリリース。2020年6月3日(水)、デジタル・ミニ・アルバム『Fake Planets』をリリース。

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