2000年以降レコード会社内での事業再編や吸収・合併により活動停止していた老舗ジャズ・レーベルが新生され、ついに活動を再開した。ジョン・コルトレーンやモダンジャズ期の数々の名盤で知られ、オレンジと黒のレーベルロゴも有名なインパルス・レーベルは、その拠点をヨーロッパに移し、フランス人プロデューサーをトップに据え、今後は専属契約したアーティスト達の新作を続々とリリースする予定となっている。
そのラインナップには、現役ピアニスト達がずらりと並び、ケニー・バロン、サリヴァン・フォートナー(現ロイ・ハーグローヴ)、ジャッキー・テラソン、ランディ・ウェストンらの新作に加え、チャーリー・ヘイデンと故ジム・ホールによる秘蔵デュオ録音などもリリースされる予定とのことだ。
昨年から急成長中のソニーOKeh/マスターワークスをはじめ、ドン・ウォズ体制のもと独自の路線を突き進む好調なブルーノート、ジョシュア・レッドマンやブラッド・メルドーを擁するノンサッチ、上原ひろみを始め若手中心のローテーションを確立しつつあるコンコード、精力的にリリースを続けるECMなどに加え、新生インパルスはその硬派なラインナップで独自のジャズシーンを我々に提示してくれるに違いない。
ニューオーリンズの盲目のジャズ・ピアニスト、ヘンリー・バトラーと、NYダウンタウンシーンを代表するスティーヴン・バーンスタイン(tp)による『Viper's Drag』は、人知れずリリースされている新生インパルス・レーベルからの第一弾となる。ドン・チェリー、ウィントン・マルサリス、ルー・リード、レヴォン・ヘルムらと共演してきた強者達が、ジェリー・ロール・モートンやファッツ・ウォーラーらのアーリー・ジャズの様式美に独自の解釈を加えたディープな一枚。コレからの暑い季節にはたまらないアーシーな新感覚ニューオーリンズ・ジャズを是非お試しください。