Page 2 / 2 1ページ目から読む

【天野龍太郎】

SEKAI NO OWARI “silent”

今年初めて聴いたクリスマス・ソングかも。サビの見事なメロディーラインに〈ああ、セカオワの曲だ〉という感動と安心感が。特に、Fukaseさんのヴォーカルが今回はよすぎます。めちゃくちゃ切なくて、けれども力強い。配信リンクはこちら

 

山本精一 “フレア”

山本精一さんの5年ぶりのうたものアルバム『selfy』から。言葉になりません。聴いてください。『selfy』は11月18日(水)にリリース。

 

沖メイ “だとしたら”

沖メイさんが7月にリリースしたEP『Half Way For Now』から、餃子を作って食べるだけの、めっっっっっちゃくちゃいいミュージック・ビデオがリリース。ZA FEEDOのバンド・ヴァージョンもかっこいいのですが、このドリーミーでアヴァンギャルドでどこまでも自由なサウンドには、とにかく〈らしさ〉を感じました(コーラスが最高)。とてもパーソナルで、〈生活と音楽〉のにおいがする。

 

小西真奈美 “君とはもう逢えなくても”

11月25日(水)にリリースされるアルバム『Cure』から。小西さんのウィスパー・ヴォイスは〈タイト・ロープ・ダンシン〉という感じがする。後半のつぶやきがかっこいいです。プロデュースは亀田誠治さんで、作詞作曲は小西真奈美さん。また、本日10月27日の20:00からYouTubeでトークの配信があるそうです。『Cure』の配信リンクはこちら

 

MONYPETZJNKMN feat. kZm “How Many”

MONYPETZJNKMNのニューEP『Gimme Da Dope』から。〈息絶えるまで遊ぶだけ〉とMonyHorse。〈世間のニュースは知らない/だって見たって悲しくなるだけ〉とPETZ。暗闇をのぞきこみながらハイとローを行き来するラップ。『Gimme Da Dope』の配信リンクはこちら

 

MULBE feat. MILES WORD “STAY HERE”

N.E.NのMULBEが12月9日(水)にリリースするファースト・アルバム『FAST&SLOW』から。〈STAY HOME〉ではなく〈STAY HERE〉とラップするMULBEからは、ストリートで生きる覚悟を感じる。ビートはあのGRADIS NICE。

 

【鈴木英之介】

渚にて “Newocean”

さわりだけ聴くとソフトでメロウな、肩ひじ張らぬフォーク・ロックに思える。しかし、そんなサウンドに乗る竹田雅子のノンビブラートな歌声には、感情の抑揚がまるで感じられず、ちょっと不気味だ。それが喚起する不穏な予感は心地良いサウンドのなかで次第に存在感を増していき、やがてサイケデリックこの上ない展開を招来する。しかしカタストロフのようにもたらされた音の渦は、常識にとらわれた私たち聴き手を巻き込み、見たこともない世界へと漂着させてくれるだろう。たった数分で体験できるイニシエーションを、あなたもぜひ。

 

I love you Alone “PURGE”

I love you Orchestraの白水悠による、ソロ・プロジェクト。ヴァイオリンを基調に構築された、バッハのコラール前奏曲を思わせる端正な音世界。そこに突如、ピアノによる荒々しい不協和音が混入する。激しく揺さぶられる安寧。シンプルでありながらノイズや不協和音の効果を際立たせるこの演出に、鳥肌を禁じ得ない。〈美しさ〉はみずからの美しさを確認するため、ときに〈醜さ〉を必要とする。ヘーゲルの〈主人と奴隷の弁証法〉ならぬ、〈美しさと醜さの弁証法〉とでも言うべきドラマがここでは確かに展開されている。

 

mekakushe “想うということ”

自身の声をカットアップしエレクトロニック・ミュージックの声ネタのように使ったかと思えば、アコースティック・ギターをつま弾いて朴訥とした美しいメロディーを歌いだす。そしてその移行の仕方は、あくまで自然だ。生楽器とエレクトロニクスを自在に行き来する彼女の音響的センスは、空中泥棒や君島大空などのそれを彷彿させる。なんでも彼女、高校生のときにはピアノで武満徹を弾いていたという。〈間〉に関する独特のセンスは、武満聴取を通して体得したものなのかも……?