SOIL&“PIMP”SESSIONSとの挑戦的なコラボ曲“Lonely Dance Club”

――大きなトピックとしてSOIL&“PIMP”SESSIONSとのコラボ曲“Lonely Dance Club”があります。熱がたぎるような〈デス・ジャズ〉が展開されていますが、どういう経験でしたか?

「まず、自分がすごくリスペクトしている、ヴァイタリティーのあるパワフルなミュージシャン集団を前にして、彼らを率いる者としてここに存在しなきゃいけないって思いました。自分のプレイや歌もチャレンジングでしたが、すごくいいものができたなと思います。

ブルーズとジャズは密接につながってるジャンルなので、これまで私自身も関わりがありましたし。今回のアルバムを作るにあたって、オーセンティックなジャズを改めてコピーしてみたりして。あと、ロカビリーやアシッド・ジャズ、管楽器のジャズも聴いて曲に投影していきました」

『HONEY』収録曲“Lonely Dance Club”

――大人数によるコラボレーションなのに、孤独に踊りあかす曲になっているというギャップがおもしろかったです。

「コロナ禍によって、世界中の人々がそれぞれ別々の場所で、それぞれの家で過ごすという、同じような体験を同じ時間軸で経験する不思議な現象が起こったと思うんです。そういうことは、以後何十年かはないんじゃないかと思うんですよね。それぞれが孤独であったことによって他者を求める気持ちが強くなったと思いますし。

そういう今年の春の現象を、よりパーソナルな表現で具現化した曲です。なので、〈Lonely〉っていう言葉と〈Club〉っていう相対する言葉をくっつけたタイトルになりました」

ReiとSOIL&“PIMP”SESSIONSの社長、丈青のコメント動画

 

孤独と向き合えるからこそ、誰かのことを愛せる

――“COLORS”では、ひとり部屋にいて、過去への未練に揺れてる状況から抜け出したいという気持ちが描かれています。コロナによって〈会えない辛さ〉を痛感した人は多いと思いますが、元々こういう気持ちは強くあったということですか?

「あったと思います。かといって、馴れ合いで誰かと群れたりしたいっていう想いが強いわけでもなく。私が尊敬しているミュージシャンは、他者との関わりを深く持ってるけど、自分の二本足でしっかり立ってる人が多いんです。

話が逸脱しますけど、最近壇蜜さんがインタビューで、〈ひとりでも生きていけるって思ったから結婚した〉というようなことを語ってらして。まさにそうだなと思ったんですよね。ちゃんと自立しているからこそ、本物の愛情を人と育めるんだと私も思うんです。それに、孤独との向き合い方をきちんと開拓している人こそ、誰かのことを愛してあげられるのかなという風にも思いました。頼りにするのと依存するのは紙一重のようで、だいぶ違うことなのかなって。それは大人になって気付けてきたことかと思います」

――“COLORS”は80’s感のあるダンス・ファンクをアップデートしたしたようなサウンドで。描かれている感情は孤独で焦燥感がありますが、ファンキーなアップテンポの曲に昇華したのはなぜですか?

「言葉と音楽のコントラストってすごくおもしろいなと思っているんですよね。aikoさんの曲にもそういう手法が多くて。”シアワセ“や”雲は白リンゴは赤“という曲も、一見後ろ向きな歌詞なんだけれども、すごく明るい曲調で。あと、やなせたかしさんの”アンパンマンのマーチ“もそうですけど。詞を読むとネアカな感じではないんですけど、サウンドでバランスが取れてる部分もあるし、そこのギャップにハッとする部分もある。いわゆるポエトリーではできない音楽ならではの表現を心がけて作りました」