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【天野龍太郎】

C.O.S.A. feat. KID FRESINO “Sundown”

2020年も終わろうとするタイミングでついに届けられた、C.O.S.A.待望の新曲。Rascalによるビートは、太いベースとヒリヒリとしたサンプルのエディットが張り詰めた緊張感を生んでいて、びびる。C.O.S.A.はこの国の貧困を抉り出しながら、〈Police、娼婦、労働者に政府/いくら稼いだら悪から正義?〉とさまざまな立場に冷静な視線を注いでいます。すべてはカネ。この街でカネは、必要としているひとびとのもとにもちゃんと回っているのだろうか。富める者はますます富み……なんて状況になっていないだろうか。地べたからの声は、そう問いかける。〈Stressが増す そりゃ増える こんなmood/バッチリ合う 俺のdrill〉。震えます。配信リンクはこちら

 

AI feat. Awich “Not So Different Remix”

AwichがAIと共演した驚きの一曲。テーマは差別。ヘヴィーですが、未来へとまっすぐ伸びる意志を綴ったリリックに心を打たれます。なんと、2人は12月18日(金)の「ミュージックステーション」に出演するんだとか。Awich、すごすぎます。配信リンクはこちら

 

堀込高樹 “『共演NG』のテーマ”

短いけれども素晴らしい。ほとんど現行KIRINJIサウンドな、堀込高樹さんの新曲。思わず力が抜けてしまう歌詞もあいかわらず最高です。NHKホールでのライブを観に行ったという奥野紗世子も、さぞよろこんでいることでしょう。配信リンクはこちら

 

K E I_H A Y A S H I “忘れちゃおう”

今年5月にデビューEP『KEI_HAYASH1』をリリースしたシンガー・ソングライター、K E I_H A Y A S H Iのニュー・シングル。EPについてはインタビューをさせていただいたので、これはその〈ネクスト〉という印象です。ソウルフルで伸びやかな歌声を聴き、作曲やプロダクションも手がけてしまうその多才ぶりを目の当たりにするたびに、Official髭男dismのようにブレイクするのももうすぐなんじゃないかと感じています。配信リンクはこちら

 

seaketa “沈む/なぜ”

SNJOくんの親友(という紹介もおかしいのですが)、seaketaが自身のレーベルKumo Communicationから新作『すぎる』をBandcampやストリーミングでリリース。この“沈む/なぜ”は、同作からの一曲。ふにゃふにゃとした電子音が浮遊する、不安定で不規則なアンビエント。やわらかいオウテカ、というか……。いまの気分にとてもフィットしました。配信リンクはこちら

 

【鈴木英之介】

BORIS with MERZBOW “Away From You”

先週後半から、この2組が織り成すめくるめくノイズ絵巻に耳を奪われっぱなしだった。12月11日にリリースされた傑作『2ROI2PO』の冒頭を飾る一曲。そもそも20世紀の音楽は、本来アクシデントの産物であったはずのノイズを積極的に取り込むことで、自己拡張を繰り返してきた。ジョン・ケージ、ジミ・ヘンドリックス、スロッビング・グリッスル、ソニック・ユース、フェネス……ノイズを自身の表現の一部として活用したアーティストは枚挙にいとまがない。そして2020年末、ジャパノイズの大家MERZBOW(メルツバウ)とエクスペリメンタル・バンドBORISによって、その歴史に新たな1ページが刻まれた。ノイズはいまや、まぎれもなく豊かな音楽としてここにある。

 

SuiseiNoboAz “それから”

バンドSuiseiNoboAz(スイセイノボアズ)が12月9日にリリースしたニュー・アルバム『3020』のラストを飾る一曲。ジャジー・ヒップホップのようなサウンドをバンドの生演奏で作り出すスタイルは、ルーツ(The Roots)などを彷彿させる。そして2020年という混迷の時代を生きる一人としての石原正晴のラップは、熱さと冷静さが同居した絶妙な塩梅で心地良く、そして紡ぎ出される言葉の一つ一つはあらゆる障壁を貫いてまっすぐ胸に迫ってくる。また彼が弾く2分40秒あたりからのギター・ソロも素晴らしいので、そちらも必聴。

 

FINAL SPANK HAPPY “SMOOTH ESCALATOR”

〈ゾンビに囲まれてここに逃げ込んだの〉という冒頭の一節にも表れている通り、あの不朽の名作映画「ゾンビ」にオマージュを捧げた一曲。とはいえ曲調はおどろおどろしさとは無縁で、ジャズを基調とした高度で洗練を極めたポップに仕上がっている。真夜中の新宿伊勢丹を舞台に撮られたらしいミュージック・ビデオも、最高にクール。久しぶりに「ゾンビ」も観返したくなってきてしまった……。

 

【小峯崇嗣】

ウ山あまね “リモデラ”

神様クラブのメンバーでトラックメイキングを担当する周によるソロ・プロジェクト、ウ山あまねのデビューEP『Komonzo』に収録されている楽曲。一度聴けば、HyperpopとJ-Popを見事に融和させた驚異のプロだクションと中毒性のあるポップなメロディーの虜に。彼にはTOWER DOORSのメール・インタビュー〈6つの質問〉を行っておりますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。

 

aimi “Fight No More”

R&Bシンガー、aimiが新曲“Fight No More”を先週リリース。今回の楽曲には、長年の音楽活動のなかで自身の名義を〈aimi〉に変えて再スタートしたときに抱えた葛藤や名前を手放したことへの想いが込められているとのこと。どこか悲しげでありながらも、固い決意を感じられる彼女の流麗な歌声が本当に素晴らしいです。MVも併せてチェックしてみてください。aimiはTOWER DOORSが毎週出演しているInterFM897のラジオ番組「sensor」で生パフォーマンスを行っています。彼女のソウルフルな歌声の魅力がより感じられますので、そちらもぜひチェックを!

 

Chainsaw Dew “Hello Hello Bad”

千葉・浦安出身のヒップホップMC、Chainsaw Dewの“Hello Hello Bad”。流れるようなメロウでジャジーなサウンドに太いリズムが刻まれるブーンバップ調のトラック。ストレートな想いが込められたリリックを、渋くも鋭いフロウで綴っていくクールな一曲です。

 

HYLE ”Remember Who I Am”

東京を拠点に活動するSSW/トラックメイカー、HYLEの”Remember Who I Am”をご紹介。80’sのシンセ・ポップの仄かな香りがするサウンドと甘いメロディー、ディープ・ハウス調のビートが重なり、ネットの世界に迷い込んだようなSci-fiな質感の一曲。淡く儚げな声がアイデンティティーをテーマに語り掛けます。