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再構築された“Eternal Loop”

――ラストはファン注目で、この作品の目玉になるであろう“Eternal Loop”ですね。これは再構築という解釈でよろしいですか?

下山「再構築という言葉がピッタリだね」

――“Eternal Loop”は元々〈BLUE〉〈RED〉〈CLEAR〉とあって僕の中ではそれぞれが独立した組曲というイメージを持っていたのですが、いつかは3つを1つの曲として再構築しようと考えていたのですか?

下山「考えてはいなかったですね。思い付きでどうだろうって提案してみて。3つ全部をやると長いので、コンパクトにして今回収録するアイデアを出しました」

――再構築する中で苦労した点はありましたか?

下山「その作業をしたのは木下さんなので、大変だったと思います。僕らはアレンジ済みのものを渡されて、それをレコーディングするだけだったのでその点では苦労はなかったです。

一つのストーリーで出来ている曲だから、聴き終わったら一本の映画を観終えた様に聴いた人が感じてくれたらとイメージしていて。僕はそんな印象を受けたのでね」

田中「木下さんからデモを聴かせて貰った時から感動していましたよ。アレンジも3曲が奇麗に繋がっていたし、その作業がどれだけ大変かも分かっていますから。繋げた感がなくて1つの作品として曲の完成度も素晴らしいなと。元々の三部作のツイン・ギターのアレンジもしましたが、こうやって新たに作り上げられるとプレイすることへのワクワク感が増しましたね」

下山「この曲が最後なのは絶対だった。40周年記念アルバムということにもなって、木下さんの集大成的な意味合いもあったので。だから木下さんのギター・ソロで終わるのはファンにとっても嬉しいだろうし、僕らも腑に落ちます。最後は木下さんの邪魔はしたくなかったので僕は何も入れませんでした。ライブでは違ってくると思いますけど(笑)」

 

SABER TIGER結成40周年に向けて

――新型コロナの影響で色々と予定が狂ったと思いますが2020年に他に計画していたことはあったのですか?

下山「海外のフェスの話とかもテーブルには上がっていたのですが、コロナで早々と海外には行けなくなってしまいましたね。メンバーもフェスに出たいとは思っていて、また海外は狙っていきたいですよ。

コロナの影響で札幌では潰れてしまったライブハウスもあるし、僕の仲間がやっているライブハウスで瀕死状態のところもあります。札幌だけじゃないですけどね」

――もしコロナが終息したとしたら、来年の40周年のプランで考えていることはありますか?

下山「オリジナルのアルバムを制作して、ツアーというのは考えていますよ。節目には歴代のメンバーを集めて〈SABER TIGER祭〉みたいなこともやっていたので、それもチラっと考えてましたが。30周年の時、僕はDOUBLE DEALERがゴタゴタしていた時期で札幌にいなかったので(イベントに)参加できなかったんですよね」

――今、アルバムの話がでましたが、もしかしたら曲作りは進んでいるのですか?

下山「全く進んでないらしいですね」

田中「最近まで『PARAGRAPH V』の作業に集中していたので、まだ尻に火が着いていないですが、アルバムを作らなくちゃって状態にはなってます」

 

過去を振り返って次に進むことの重要さ

――2021年の40周年に向けてSABER TIGERのことを待っているファンも多いと思いますので、最後に一言お願いします。

下山「〈PARAGRAPH〉シリーズは僕らがSABER TIGERとして活動してきた証になると思うのでファンの皆様には楽しんで欲しいです。そして新しいものを生み続けるのも僕らの大切なライフワークなので、一度作ったものを見直して向き合ってレコーディングするという作業も本当に大切だなって感じています。

これは人生と同じで、通り過ぎて後ろを振り返らないのは一見カッコいい感じですが、しっかり振り返って色々なことを自分なりに受け止め直して、次に進むことがとても大事だと思う。

今年はコロナで皆さんも大変な一年で、立ち止まった様な感じだったかもしれないけど、だけどこの経験があったからこそっていうことも絶対にあったと思うんですよ。一人一人が未来に希望を持って次の一歩を進んで貰いたいですね。その力に僕らの音楽がなれたらいいなと思います」

田中「今の状況ではライブができないので、ファンの皆様には作品を楽しんでもらうことしか今の僕達にはできないのですよ。この作品の音には僕達の気持ちやエネルギーを十分に込めているので、これを聴いて楽しんで魂を感じて欲しいですね。またライブができる状況になったら一緒に騒げたらいいなと思います。『PARAGRAPH V』を楽しんでください」

 


RELEASE INFORMATION

“Motive Of The Lie”先行配信中

SABER TIGER 『Motive Of The Lie』 Walküre(2020)

リリース日:2020年12月23日

TRACKLIST
1. Motive Of The Lie

 

SABER TIGER 『PARAGRAPH V』 Walküre(2021)

リリース日:2021年1月20日(水)
品番:WLKR-0055
価格:3,000円(税別)
タワーレコード オリジナル特典:ジャケ絵柄キーホルダー

TRACKLIST
1. Revenged On You
2. Believe In Yourself
3. Motive Of The Lie
4. 屈辱
5. Sleep With Pain
6. Back To The Wall
7. Jealousy
8. Into My Brain
9. Because Of My Tears
10. Mr. Confusion
11. Eternal Loop

Produced by SABER TIGER

Mixed by Akihito Kinoshita
Mastered by Hirokazu Tsuruha

Artwork: Takahiro Osaka
Design: Yasuharu Tanaka

■オリジナル音源収録作品
『RISE』(86年)“Jealousy” 
『INVASION』(92年)“Back To The Wall”
『AGITATION』(94年)“Motive Of The Lie”“Into My Brain”
『TIMYSTERY』(95年)“Revenged On You”
『SABER TIGER』(2001年)“Believe In Yourself”“Because Of My Tears”“Eternal Loop”
『F.U.S.E.』(2002年)“屈辱”“Sleep With Pain” 
『INDIGNATION』(2005年)“Mr. Confusion”

■SABER TIGER
下山武徳:ヴォーカル
木下昭仁:ギター
田中康治:ギター
hibiki:ベース
水野泰宏:ドラムス