音楽/映画ライター。ロックと映画を中心に「ミュージック・マガジン」「レコード・コレクターズ」、Real Sound、CINRAなどで執筆。アルバムのライナーノーツや映画のパンフレットにも数多く寄稿する。
あなたとベルセバとの出会いは?
『天使のため息(If You’re Feeling Sinister)』がリリースされた時、音楽雑誌で大きく紹介されていて、スミスのアルバムみたいなジャケットに惹かれました。昔は大好きだったネオアコから離れていた時期でもあったので、彼らのナイーヴでヒネくれた音楽を懐かしく感じましたが、その時はそれほどはまらず、よしよし、頑張れよ、というくらい。ラフ・トレードと契約してポップになってからの方が、より彼らの魅力に気づくようになりました。曲が良い、というのはもちろん、そこに物語性があるところに惹かれます。歌詞、メロディー、アレンジ、ヴォーカル、そのすべてが組み合わさって、ミュージカルのように物語を生み出している。スチュワート・マードックは「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」(2014年)を監督する前から、曲作りを通じて映画を撮っていたんじゃないでしょうか。
お気に入りのベルセバの曲やアルバムは?
ベルセバって良いバンドだな、と長い間、思い続けて、本当に好きになったのは『Girls In Peacetime Want To Dance』(2015年)でした。なんで、これまでもっとしっかり聴いてこなかったのかと反省。過去の作品を改めて聴き直しました。同じ年に映画「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」が日本公開されてパンフレットに原稿を書いたのですが、この映画のサントラやスチュワートがソロ・ユニットのゴッド・ヘルプ・ザ・ガール名義で2009年にリリースした『God Help The Girl』も好きなアルバムです。アルバムが出た時にスチュワートにインタビューしたのですが、その時、スチュワートが好きなサントラとして挙げてくれた『She’s Gotta Have It』(86年)もお気に入りの一枚になりました。
ベルセバのライブの魅力や『What To Look For In Summer』を聴いた感想は?
ベルセバのライブは、ヨ・ラ・テンゴのライブと雰囲気が似ている気がします。ステージに立っているからといってカッコつけたりせず、観客と対等の立場でもてなしてくれる。ステージに観客をあげる恒例のダンス・パーティーなんてまさにそう。そんなフレンドリーな空気がアルバムからも伝わってきました。コロナでライブが観られない時に、こういう作品を出すのもバンドのファンに対するメッセージじゃないでしょうか。2015年に来日した時、ライブが始まる前に楽屋で取材したのですが、みんなもうライブが終わった後みたいにリラックスして楽しそうだったのを思い出しました。また、彼らのライブで踊れる日が来ますように。
あなたとベルセバとの出会いは?
98年、当時ソフト・ロックが好きだった年下の友人とミックスMD(!)を交換した時、60年代のバロック・ポップやフォーク・ロックに混じって(確か)“The Fox In The Snow”(96年作『If You’re Feeling Sinister』収録)が入っていた……というのが出合いです。ニック・ドレイク的な内省性と短編小説のような歌詞に潜むユーモア、そして何よりも演奏も歌も拙いところにキュンとしました。
お気に入りのベルセバの曲やアルバムは?
個人的にはイザベル・キャンベル(2002年に脱退)のチェロがあってのベルセバ、だと思っているのでアルバムだとやはり『If You’re Feeling Sinister』。曲だとドラマ「ギルモア・ガールズ」のキャラクターで音楽マニアのレーンが〈発売日にどうしても欲しい〉と言っていた“Legal Man”(2000年)がパッと思いつきます。こういう、60年代映画のパーティー・シーンに流れていそうな小曲に弱いので。
ベルセバのライブの魅力や『What To Look For In Summer』を聴いた感想は?
ベルセバは途中からライブ・バンドとしての力がついてきて、すごく大人になったと今回のライブ盤を聴いて改めて思いました。すごく安定していて、昔の曲はスタジオ盤よりも安心して聴ける! だからと言って線が細かった頃の魅力を失った訳ではない。ライブは観たことがなかったのですが、これを聴いて生の彼らを観たくなりました。その機会を心待ちにしています。
リサ(元バニラビーンズ)

あなたとベルセバとの出会いは?
私が10代の頃、母がリビングで聴いていたラジオから出会いました。“Another Sunny Day”(2006年作『The Life Pursuit』収録)を初めて聴いた時の心地よさ、イントロからグッと惹き寄せられるメロディーラインのかっこ良さ、好きにならない理由がないくらいでした。
お気に入りのベルセバの曲やアルバムは?
好きな曲は、“Funny Little Frog”(2006年作『The Life Pursuit』収録)です。グループ時代にカヴァーをさせていただきました(『バニラビーンズIV』というアルバムに入っています)。歌うのはとても難しかったですが、その分、特に愛着があります。今回のライブ盤のこの曲もアレンジが最高でした!
ベルセバのライブの魅力や『What To Look For In Summer』を聴いた感想は?
ライブが中々観に行けない今だからというのもありますが、ライブでしか味わえない熱気、高揚感を思い出させてくれました。歓声、拍手、ライブの生々しさ、その全てに胸が熱くなりました。そしてやっぱり、ベルセバって超カッコイイ!!!
RELEASE INFORMATION

BELLE AND SEBASTIAN 『What To Look For In Summer』 Matador/BEAT(2020)
リリース日:2020年12月11日
■国内盤2CD
品番:OLE1638CDJP
価格:2,750円(税込)
国内盤特典:ボーナス・トラック追加収録/解説書・歌詞対訳封入
■輸入盤2CD
品番:OLE1638CD
価格:2,490円(税込)
■輸入盤2LP
品番:OLE1638LP
価格:4,390円(税込)
TRACKLIST
Disc 1
1. The Song Of The Clyde
2. Dirty Dream Number Two
3. Step Into My Office, Baby
4. We Were Beautiful
5. Seeing Other People
6. If She Wants Me
7. Beyond The Sunrise
8. Wrapped Up In Books
9. Little Lou, Ugly Jack, Prophet John
10. Nice Day for a Sulk
11. I Can See Your Future
12. Funny Little Frog
Disc 2
1. The Fox In The Snow
2. If You’re Feeling Sinister
3. My Wandering Days Are Over
4. The Wrong Girl
5. Stay Loose
6. The Boy Done Wrong Again
7. Poor Boy
8. Dog On Wheels
9. The Boy With The Arab Strap
10. I Didn’t See It Coming
11. Belle And Sebastian
12. Century of Fakers *Bonus Track for Japan
13. Expectations *Bonus Track for Japan