 
私はあなたのペットなの? ……ジョークが通じなかったとしても、もうみんな彼女の掌の上で踊らされている! 奔放な存在感とモダンなセンスでシーンを翻弄するサブリナは、ポップ・リスナーのベスト・フレンドなのだ!
インスピレーションが湧いてきた
サブリナ・カーペンターの快進撃が止まらない。2024年のサマー・アンセム“Espresso”を皮切りに、次から次へとヒットを連発。世界のチャートを席巻し、いまやトップスターの最前線を闊歩する。彼女の一挙一動を皆が固唾を飲んで見守っている。
2024年8月に発表されたアルバム『Short n’ Sweet』は、米英のみならず世界各国のチャートで1位を獲得。アルバムからは先行シングル“Espresso”が異例のロング・ヒットと化したのに加えて、“Please Please Please”(全米/全英1位)、“Taste”(全米2位/全英1位)、“Bed Chem”などのヒットが続出。最優秀ソング部門を受賞したVMAや〈コーチェラ〉でのパフォーマンスも話題を呼び、第67回グラミー賞では主要4部門を含む6部門にノミネート。最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバムと最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ)の2部門を受賞した。すべてが順風満帆すぎる状況なのだが、彼女は早くも次なるステージへと乗り出した。
2025年6月に発表したニュー・アルバムからの先行シングル“Manchild”は、またもや米英をはじめとする世界のチャートで軒並み首位を記録。それに続いたニュー・アルバム『Man’s Best Friend』も、当然の如く世界中のチャートで首位をゲットし、セカンド・シングル“Tears”が現在記録を更新中だ。前作の勢い冷めやらぬうち、早いペースでネクスト・フェーズへと移行したのは、もちろんビジネス的な配慮もあるはずだが、何よりも本人のモチヴェーションの高まりが勝っていたという。
サブリナいわく「ニュー・アルバムのリリースの予定はなかったけれど、幸運にもすぐさまインスピレーションが湧いてきた」とのこと。前作が完成した直後から「自転車を漕ぐかのように、深く考えずとも自然に進行していった」そうで、「昔はみんな、そういうペースでアルバムを発表していたでしょ」と彼女は語る。そう、今回のアルバムには、過去アーティストたちの名作の影響が大きかった、と彼女は明かしている。スティーヴィー・ワンダー、ドリー・パートン、ドナ・サマー、フリートウッド・マック、アバ、そして一風変わったところではブルー・ナイルなどという音楽通が喜びそうなアーティストの名を挙げている。道理でアルバム全般に70年〜80年代ポップスのノスタルジックなムードが漂っているわけだ、と頷けることだろう。
制作陣は、前作とほぼ変わらず。前作に大きく貢献した3人が大役を務めている。サブリナと共にソングライティングに臨んだのは、ホールジーやハリー・スタイルズらのヒット曲を手掛けてきたエイミー・アレン(自身も昨年シンガー・ソングライターとしてフル・アルバム『Amy Allen』を発表している)。サウンドとプロダクション面に関しては、テイラー・スウィフトからラナ・デル・レイまでを手掛けるジャック・アントノフと、ワン・ダイレクションやマルーン5を手掛けてきたジョン・ライアンが作曲及びプロデュースで参加。気心の知れた仲間たちとの、前作の延長戦のような作業だったのが窺える。そういう意味では、前作『Short n’ Sweet』の続編とも取れるアルバムだが、前作が〈小粒でスウィート〉な楽曲集だったのに対して、今作はより大きく自由に手を広げているといった印象だ。緻密に計算されたというより、リラックスした環境下でさまざまな冒険心を追求。余裕をもって未知の世界を楽しんだ様子が伝わってくる。
 
  
 
           
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    