アストル・ピアソラ生誕100周年を記念し、フィリップスとポリドールに遺した名盤を初UHQ-CD化!
没後5年が過ぎることから高まりを見せたアストル・ピアソラ人気は四半世紀近く経った現在でも衰えず、今やコンサートのプログラムに“リベルタンゴ”等の人気曲が並ぶのも珍しくなくなった。その割に数多くのレコード会社に分かれて遺され、かつそれぞれの再発もスムーズに進んでいないアルバムが入手しづらい状況は未だ解決したとは言い難い。それだけにフィリップス/ポリドールで録音したタイトルをまとめた今回の再発は嬉しいニュースだ。
まず1977年に再編成したコンフント・エレクトロニコのパリ録音『オランピア'77』は世界初のCD化。ジャズ・ロックに寄せたサウンドが素敵だ。文化使節としてニューヨークへ訪問後に、ブエノスアイレスで録音した五重奏団による『ニューヨークのアストル・ピアソラ+6』には入手困難だった6曲がボーナスとして収録されている。60年代半ばのスランプ期に制作された『タンゴの歴史 第1集/第2集』はタンゴの代表曲に大編成で挑んだ作品。ピアソラの曲ではないが、アレンジでここまで変わるのかと驚く傑作。以前国内でリリースされた『モダン・タンゴの20年』はピアソラが辿った楽団の変遷を自ら再現したもの。ピアソラを深く知るには必聴。『エル・タンゴ』は作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスのテキストにピアソラが曲をつけた企画アルバム。名歌手として知られたエドゥムンド・リベーロの語りと歌が凄い存在感を見せている。『コラボレーションズ』はシャンソン界で活躍したジョルジュ・ムスタキやブラジルの奇才、ネイ・マトグロッソ等4人の歌手と組んだ曲を集めた編集盤。また別の側面がうかがえる実に興味深い一枚。
今年はピアソラ生誕100年。その節目として企画されたわけだが、“リベルタンゴ”の他数曲でしかピアソラを知らない人には是非聴いて欲しいタイトルばかりだ。しかもこういったものは実質上の限定盤になってしまうこともしばしばだから早めに確保することをお薦めする。