コラム

アストル・ピアソラ(Astor Piazzolla)を深く理解するための10枚

RCAビクター時代の名盤が一挙再発

生誕100年を迎えたピアソラ音楽世界を理解するために、是非聴きたい10枚

 今年はアストル・ピアソラの生誕100年。それをきっかけにピアソラが遺したバンドネオンを編成に入れた交響曲“シンフォニア・ブエノスアイレス”の日本初演や、テレビ、ラジオでの大々的なピアソラ特集など、彼の音楽の魅力や功績が紹介される機会が増えている。ところがピアソラといえば“リベルタンゴ”を筆頭としたほんの数曲が人気を獲得し、それに引きずられるように知られるようになったせいもあり、内容やクォリティーが怪しい編集版が乱発され、オリジナル・アルバムの入手が難しい状況が続いていた。それだけにきちんと監修されたアルバムの再発は、ピアソラをきちんと理解してもらうためにも大いに歓迎すべきことだが、先日のユニバーサル系に続き、今度はRCAビクター系に遺したアルバム10タイトルが再発されることとなった。

 生涯にわたって様々な編成を試行錯誤してきたピアソラだが、代表格といえるのはキンテート(5重奏団)だろう。今回の再発ではそのキンテート初のアルバム『ピアソラ、ピアソラを弾く』から、年代毎のキンテートが聴けるアルバムが含まれているほか、ピアソラファンの間で話題を呼んだ弦楽オーケストラでのパリ録音『シンフォニア・デ・タンゴ』 。タンゴ歌手の大御所、ロベルト・ゴジェネチェとのライブ盤。そして最後の公式演奏の録音となったマノス・ハジキダス指揮のオーケストラとの『バンドネオン・シンフォニコ~アストル・ピアソラ・ラスト・コンサート』など、その時々に於けるピアソラの成果が含まれている。ピアソラの音楽世界を知るためには年代順に全部聴き込むべきだろうが、無理ならばどこから手をつけてもいいだろう。さらに全てのアルバムにピアソラの研究本「アストル・ピアソラ 闘うタンゴ」の著者、斉藤充正氏とタンゴ研究家として活躍されている西村秀人氏による詳細なライナーノーツと曲目解説が収録されているので、資料としての価値も高い。ピアソラの音楽をきちんと知ろうとするならば、入手して聴き込むべき10枚だ。

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