ピアソラ=フェレールによる、オペリータ「ブエノスアイレスのマリア」、邦人音楽家による2021年の公演を収録したライヴ盤。ピアソラ自身が残したものやG.クレーメル、小松亮太による録音がある。プロデューサー、ヴァイオリニストの柴田奈穂は、舞台の雰囲気全体を残すことを意図したのだろうか、この盤はどの盤よりも深い響きの中に作品を置く。68年に初演されたこの作品は、ピアソラが〈彼女は音楽、そして音楽は私〉とまで想った女性歌手を主役に想定して書かれた。本CDの演奏は、ピアソラの熱い想いを背景に書かれた楽曲の、晩年にまで続く彼の音楽の魅力を〈ミサをタンゴ化する〉物語と共に存分に伝える。