コラム

TOWA TEI『LP(エルピー)』マインドで踊らせる〈コロナ時代のクラブ・ミュージック〉を青野賢一が綴る

傑作マインド・ダンスミュージック

 一聴して思い浮かんだのは、原点回帰という言葉だった。TOWA TEIの新作『LP(エルピー)』は、クラブ・ミュージック、ヒップホップをリスニングにも適した温度に落とし込み、ほのかなエキゾティシズムとテクノ・ポップへのオマージュも忍ばせた、ある意味『Future Listening!』と地続きのような作品だ。とはいえ、懐かしさが先に立つわけではなく、コロナ禍におけるクラブ・ミュージックの新しいあり方――マインドで踊るような、これまでとは別次元のそれ――を感じられるユニークな作品である。

TOWA TEI 『LP(エルピー)』 コロムビア(2021)

 アルバムの幕開けは細野晴臣、そして2019年のコンサート〈Yellow Magic Children ~40年後のYMOの遺伝子~〉で“CUE”を歌ったHANAをヴォーカルにフィーチャーした“BIRTHDAY”。サックス奏者の清水靖晃が参加した3曲目の“FABULOUS”は伊賀航のスラップ・ベースが腰にくる。続く“MAGIC”はカシーフのギターが爽やかなファンクネスを醸し出しているが、こうした〈ファンクネス〉は本作の特色の一つといえよう。このほか、“MIND POWER”と“RENDEZVOUS”も見事なファンク・チューンである。METAFIVEの同志、高橋幸宏と砂原良徳が参加した“CONSUMER ELECTRONICS”はクラフトワークへのオマージュが感じられるナンバー。同じくMETAFIVEのゴンドウトモヒコがフリューゲルホルンを奏でる“NOMADOLOGIE”は、森俊二のトリッピーなギターが素晴らしいチルアウト・チューンで心地よい余韻をもたらしてくれる。

 ミックスにGOH HOTODA、マスタリングは砂原良徳と、クラブ・ミュージックを熟知した二人が名を連ね、また、決して触れられないノスタルジーといった面持ちの、五木田智央によるアートワークも秀逸だ。楽曲とこれらの要素が高次で融合した〈マインド・ダンスミュージック〉とでも呼びたい本作。早くも未来のクラシックになりそうな予感たっぷりである。

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