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kikori

東京を拠点に活動するSSW/トラックメイカーのkikori。彼女は2020年、術ノ穴のコンピレーション・アルバム『HELLO!!! vol.11』に“alien”という楽曲で参加。オルタナティヴなサウンドからアコースティック、アンビエントまで、さまざまな方向性の楽曲制作を得意としています。

その音楽性は、ローファイ・ヒップホップ的なザラついたメロウなトラックの上で儚いウィスパー・ヴォイスがたゆたう、とても幻想的なものです。見事なトラックメイキングと魅惑的な歌声という、2つの才能を持ったkikori独自の世界には驚かされます。これからDAOKOや泉まくらのように飛躍する可能性を強く感じたので、ベスト・ニュー・アーティストに選出しました。

また彼女は、2017年から鎌倉の一軒家で音楽・お酒・食事を通して空間と時間をプロデュースする自主イベント〈帰途 - kito -〉を始めています。音楽に留まらない総合的なプロデュースを行うマルチな才能は、彼女自身の音楽にもフィードバックされていると思いました。

 

羽鳥 慶

2002年生まれ、東京を拠点に活動する羽鳥 慶。幼少期から音楽に興味を持ち、小学2年生のときにMTRで楽曲制作を開始、中学2年生からDTMでの制作をスタートした、という早熟さにまず驚きました。一時は音楽活動を休止していたそうですが、2020年に再開し、映画やCMの音楽を手掛けています。

彼の音楽の魅力は、まるでインターネット上を彷徨っているかのような感覚を聴き手に覚えさせる、多数のジャンルが交錯したデジタル・ネイティヴなサウンドです。また、ノイジーなギターや彼自身のエモーショナルなヴォーカルも、とても魅力的。オルタナティヴ・ロックからシティ・ポップ調の楽曲、ジャズ、UKガラージ/2ステップを取り入れたビートまで、楽曲ごとに方向性は色とりどりで目まぐるしい。その音楽的な幅広さと現代性は、まるでThe 1975のよう。また、ノイジーなギターや彼自身のエモーショナルなヴォーカルも、とても魅力的です。

崎山蒼志や君島大空、長谷川白紙らとの同時代性を感じさせる羽鳥 慶という才能。3月1日には新作EP『Esc(EP01)』のリリースしたばかりなので、要チェックです。

 

Deges Deges

元Walkingsの高田風と、彼の盟友である井上拓己により結成されたDeges Deges。高田は月に60曲も制作するストイックな音楽家で、井上はあらゆる楽器を使いこなす多才なプレイヤーです。ブルースやロックンロールをベースにしたルーツ・サウンドと、たまらなくクセになる高田の渋く乾いたクールな歌声が、Deges Degesの魅力。

耳に馴染む滋味深いサウンドであるだけでなく、Deges Degesの音楽には民族音楽的な楽器の奏法や、1940~50年代の音楽、さらには日本の民謡など、普通のロック・バンドが参照しないような音楽のエッセンスを取り入れているのがすごいところ。挑戦的で唯一無二のサウンドを奏でているのがDeges Degesです。

今年の夏にはファースト・アルバムのリリースを予定しているとのことで、どんなサウンドの作品になるのか、予測不可能でとても楽しみです。