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TANAKAHMANN(タワーレコード新宿店)

ARETHA FRANKLIN 『Oh Me Oh My: Aretha Live in Philly, 1972(RECORD STORE DAY対象商品)』 Rhino(2021)

2007年に米ライノ・レコードのハンド・メイド・シリーズから限定リリースされ、世のソウル・ファンを驚愕・歓喜させた完全未発表ライブ・アルバムがこれまたウレシイ初アナログ化! 72年、フィリー・ソウルのお膝元フィラデルフィアで行われたテレビ&ラジオ放送関連のコンヴェンションで披露された幻のステージを完全収録した2枚組。72年と言えば、前年に発表したアレサ版ニュー・ソウルの歴史的名盤『Young, Gifted And Black』でグラミー賞を受賞、さらに日本でも映画公開され話題となっているゴスペル・ライブ作品『Amazing Grace(至上の愛~チャーチ・コンサート)』をリリースし、まさにノリにのっている時期のステージとくれば絶対にアナログで聴きたい! 「ツァラトゥストラはかく語りき」に乗せた冒頭の紹介MCから名曲"Rock Steady"になだれ込む瞬間のカッコよさったら、もー鳥肌立ちます。あの歌ヂカラでグイグイ引っ張っていくアレサと、それに負けじとアクセルべた踏みなバンド・アンサンブルの熱さ、エネルギッシュな荒々しいグルーヴはもはやロック!

 

今井優子 『愛は彼方/さよならを言わせて~Let me say good-bye~(RECORD STORE DAY対象商品/限定盤)』 Tower to the People/CRYSTAL BIRD/キング(2021)

タワーレコードの再発専門レーベル〈Tower to the People〉からの快挙と云えるCDリイシューから2年、遂にアルバム『DO AWAY』の冒頭を飾った人気の2曲がカップリングで初の7インチ・アナログ化! A面の“愛は彼方”はモチロン吉田美奈子さんの名盤『FLAPPER』(76年)のアルバム冒頭を飾ったラグジュアリーな摩天楼ソウルの名曲カヴァーで、今井優子さんのカヴァーではオリジナル版同様に鈴木茂氏のギターをフィーチャーした角松敏生氏の原曲リスペクトがアツい一曲。そしてB面はその角松氏が手掛け、国民的歌手へとブレイクを果たした杏里を彷彿とさせる角松メロディーと、攻めまくったブラコン・ライクなビートが見事にハマったアッパーな一曲。まさにカドマツ・サウンドを象徴するような2曲を、歌謡曲でもニュー・ミュージックでもなくコンテンポラリーに歌いこなす今井優子さんの素性の良さに改めて感服。

 

篠田修一(タワーレコード新宿店)

U-zhaan × 環ROY × 鎮座DOPENESS 『たのしみ(RECORD STORE DAY対象商品)』 ヴィヴィド/HIGH CONTRAST(2021)

タイトルが示す通り、どれだけの人達がこのアルバムを〈たのしみ〉にしていただろう。タブラ奏者U-zhaanとラッパーの鎮座DOPENESS&環ROY(KAKATO)によるスーパー・ユニットなのだが、今までYouTubeや配信のみでの楽曲発表で音源化を待ち望む声は多かった。そんな待ちわびた今作は、流石というべきか、今までの楽曲を単純にパッケージ化したわけでは無い、ユーモアとアイデアとワクワクに満ちていて、何回も何回もループしてしまう魔法のような磁力を持った名盤であった。特に“ギンビス”と“おでん”、“にゃー feat. 矢野顕子”の愛らしさは日本語ラップ界における癒しのパワースポットと呼びたくなるほどヒーリング効果絶大である。error403によるアートワークも秀逸なジャケの可愛さも含め、このアルバムをLPで持っていたい人は少なくないだろう。スチャダラの名曲カヴァー“サマージャム’95”(MVにはご本人も登場)をアナログで聴きながら、2021の気怠い夏を乗り切るためにも。