武藤彩未が2021年9月15日にミニ・アルバム『SHOWER』をリリースする。80年代の歌謡曲とシティ・ポップをこよなく愛し、それらから大きな影響を受けながらシンガーとしての活動を展開する武藤彩未。『SHOWER』にはそんな彼女の80年代愛が詰まっているが、一方で本作は決して懐古的ではなく〈いまの音楽〉としてのムードをたしかにまとっている。
そしてミニ・アルバムのリリースに先駆け、8月25日には表題曲の“SHOWER”が配信リリースされた。今回Mikikiでは“SHOWER”リリースのタイミングに合わせ、武藤へのインタビューを実施。来たるべきミニ・アルバムのリリース日に向けての助走として本記事を読んで、作品への期待を高めていただければと思う。
昭和に間に合わなかったからこそ昭和の名曲を歌い継いでいきたい
――まず初めに、武藤さんが今年4月に出演した筒美京平さんのトリビュート・コンサート〈筒美京平の世界 in コンサート〉についてお訊きしたいです。松本伊代さんや早見優さんなど、ずっとお好きだった歌手の方たちと共演されたようですね。
「そうなんです! 改めて写真を見返しても実感が持てなくて、なんか夢だったのかなって思っちゃうんです。私にとってみなさんはずっとテレビ画面越しに観ていた憧れの存在だったので、同じステージで一緒に歌うことができて本当に幸せでした」
――このコンサートへの出演を通して、ご自身の表現などに対して影響を与えたことはありますか?
「出演者のみなさんのすごさに圧倒されたんですけど、それとは別に改めて筒美京平さんの曲の素晴らしさを実感しました。筒美さんの提供曲を、それぞれ提供されたご本人たちが歌っている、その様子を間近で観られたことで大きな刺激を受けました」
――具体的に筒美京平さんのどんなところがすごいと思いますか?
「とにかくメロディーが全て物語になっているんです。聴いていて本当に心に響くし、情景が浮かんで、耳に残る。さらに筒美さんは編曲もご自分でなさることが結構多かったみたいなので、イントロからインパクトがあるんですよね……もうとにかく全てがすごいなって思います!」
――本当に名曲だらけですもんね。
「昔の曲をずっと聴いていく中で、最近はクレジットも自然と見るようになったんですけど、いいなと思った曲のクレジットを見るとだいたい〈作曲:筒美京平〉となっているんですよね。本当にたくさんの名曲をこの世に残してくださったんだなと思います。
私は〈昭和の時代に生まれたかった〉と思うことが多いんですけど(笑)、逆に〈歌い継ぐ〉ということは後から生まれた人にしかできないことなので、そういう意味では平成に生まれた者として使命みたいなものを勝手に感じています。そんな思いもあって、最近はYouTubeで80年代の名曲のカヴァーをアップしています。筒美さんが残された名曲も、今後ずっと歌い継いでいきたいです」
――後の時代に歌われることで、歌詞の意味合いや歌の響き方もまた変わってきますしね。
「そうですよね。あと最近はサブスクでどんどん解禁されているのもあって、昭和歌謡のブームが高まってきていますよね。きっとその時代にまだ生きていなかった人たちにとって、昭和歌謡は逆に新しい音楽のように聴こえるんだと思うんです。私も現に、新鮮さを感じていますし。一人でも多くの人に昭和歌謡の魅力を知ってもらうために、微力ですけど、私もいち昭和歌謡ファンとしていっぱい歌っていきたいなと思っています」