ZARD 30周年YEAR企画の一環として、オリジナルアルバムのリマスター盤10作品および、長らく再流通が待ち望まれていた9thアルバム『時間(とき)の翼』のリアレンジ盤をリリース。Wミリオンを記録した『揺れる想い』『OH MY LOVE』他、最新技術によって、より高音質に、より鮮明に蘇った名盤全11作に注目!
2021年2月10日にデビュー30周年を迎えたZARDが、9月15日にオリジナル・アルバムのリマスター盤10作品および、9thアルバム『時間(とき)の翼』のリアレンジ盤をリリースする。
リマスター盤は、現代の技術を最大限に生かしたデジタル・リマスタリングによって坂井泉水の歌に特化した、より鮮明な音作りを実現させている。
また、長らく再流通が待ち望まれていた『時間(とき)の翼』は、プロデューサー長戸大幸の完全プロデュースの下、収録曲を全て再アレンジ、ジャケット写真もリニューアルした30周年記念リアレンジ盤としてリリースされる。
今回あえて再アレンジする事になった経緯について、担当制作ディレクターに話を聞いた。
「『時間(とき)の翼』をリリースした2001年頃はHIP HOPやR&Bが台頭し、クラブ・サウンドや16ビートのグルーヴが主流でした。そういう時代の流れの中で、本来8ビート・サウンドを得意とするZARDもRAPに挑戦したり、HIP HOPのグルーヴを取り入れる等、新たな音楽性を模索していた時期に完成させたのがこのアルバムでした。詞(ことば)を一語一語大切に歌うヴォーカル・スタイルを持つ坂井さんはレコーディングにかなり苦戦しながらも、果敢に挑み、当時の最善を尽くしたものをリリースしました。しかし暫く経ってから、〈ZARD作品としてどこか納得がいかない〉というような話が坂井さんから長戸プロデューサーにあり、長戸さんも同意見でした。その時、2人の間でじっくり時間をかけてきちんと作り直し、いつか良いタイミングに発表しなおそうと約束が交わされたそうです。僕らも以前からその話はお聞きしていたので、30周年の節目に坂井さんとの長年の約束を果たしましょうという事になって本格的に制作を開始しました」
――オリジナル盤と30周年記念リアレンジ盤は、どのようなサウンド変化があるのでしょうか?
「オリジナルは全般的に打ち込みを多用したサウンドで、リズムマシンをループさせた、グルーヴをあまり強調させないHIP HOPやR&Bのグルーヴを軸に構築しています。そこにレゾナンスやエフェクトを多く用いて、ミレニアムを迎えた新しい時代はどうなっていくんだろうという、近未来への期待感を表現する様な、SF的なアレンジを施しています。対して30周年記念リアレンジ盤は、ギターやベースを始め各楽器の音の輪郭をくっきりさせて、ドラムのキックやスネアを強調した歯切れの良いグルーヴになっています。また16ビートであっても、あまり細かいキックやスネアは入れず、極力8ビートを感じられる様な、どっしりとしたサウンドを目指しています。オリジナル盤は何人かのアレンジャーが編曲していますが、リアレンジ盤は長戸プロデューサーの意向を受けながら鶴澤夢人さんが一人で全曲リアレンジしてくれました」
――今回はいわゆるZARDらしいバンドサウンドに寄せたアレンジになっていますね。
「はい。坂井さんの歌は大きいグルーヴの方が活きるんです。さらに今回はピアノやパッドというシンセの音などで和音を入れたり、ギターやベース、コーラスなどでコード感を強く出しています。それによってより情緒のある歌に聴こえますし、歌詞も伝わりやすくなっています。オリジナル盤を改めて聴くと、革新的なサウンドの中でも坂井さんは変わらず歌詞を大切に歌っているのに気付きます。新しいVer.ではそんな坂井さんのヴォーカルをより魅力的に伝えられるよう、アレンジからマスタリン
グまでこだわって作って頂きました」
――サイズ変更や楽器が変わっている曲もありますね。
「表題曲の“時間(とき)の翼”はサビを一廻し増やしたり、他の曲もイントロが半分になっている曲もあります。また“窓の外はモノクローム”の間奏のサックスがギターに変わっていたり、逆に“お・も・ひ・で”はサックス・ソロを加えたり、コーラスも以前は小音だった所を今回は音量を上げて目立たせたり、オリジナル盤を知っている方にも色々な発見があって楽しんで頂けると思います」
『時間(とき)の翼』のクレジットには、〈Produced by DAIKOH NAGATO with all of heart to Izumi Sakai〉と表記されている。〈with all of heart to=真心をこめて〉。楽曲制作には誰よりも強いこだわりを持っていたという坂井泉水の意志を受け継いでブラッシュアップされた全アルバムタイトル、幅広い世代の方にオススメしたい。