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ロットがSalyuを歌い、Salyuがロットを歌う

──そもそもROTH BART BARONの〈HOWL SESSION〉は、どんな思いで始めた企画なのでしょうか。

三船「ROTH BART BARONはメンバーがすごく流動的で、3人編成の時もあれば15人編成の時もある。〈正式メンバー〉みたいに白黒はっきりさせなくてもいいというか、喩えるなら〈結婚しなくてもパートナーとして一緒に生きている〉みたいな感じなんですよね(笑)。〈HOWL SESSION〉はそれとはまた別軸というか、セッションでなければできない〈新しい関係性〉みたいなものを構築できないかなと思って始めたものです。狼が遠吠え(howl)して存在を確かめ合うように、ジャンルの違う人たちと共鳴し合うコミュニケーションのようなセッションになればいいなと」

Salyu「三船さんが、セッションを〈コミュニケーション〉と捉えているのは面白いですね。考えてみれば、新型コロナウイルスの感染拡大によって、自分の中でも〈ライブの価値〉が大きく変わりました。それまでの自分を振り返ってみると、例えば実験を届けることや、時にはアウェーな場所に自分を投じてみることなど、ライブにおける試みに意義を見出す傾向が強かったなと思っていて。

でもコロナ禍になり〈集う〉ことが非日常な状況になってからは、音楽を届けること、それをお客さんに受け取ってもらうことが、三船さんのおっしゃる〈コミュニケーション〉だったのだなと気づかされることが多くなりました。きっと、多くの人にとっては当たり前のことなのかもしれませんが、本当にそれを痛感しましたね」

──では今回の〈HOWL SESSION〉の見どころについて、お話しできる範囲で教えてもらえますか?

三船「編成としては、Salyuさんのここ最近の編成と、僕らROTH BART BARONのメンバーが合体したような、文字どおり溶けて混ざり合ったアンサンブルになる予定です。セットリストも、ROTH BART BARONの曲とSalyuさんの曲が混じり合っているし、ROTH BART BARONの曲をSalyuさんが歌ってくれる場面も、俺がSalyuさんの曲を歌う場面もあって。観ている人は、〈あれ、どっちがどっち?〉となるかもしれない(笑)。実際のリハーサルはこれから始まるので、どうなっていくか不明なところもあるのですが、Salyuさんのファンの方にも喜んでもらえるといいなと思っていますね」

Salyu「最初は〈ゲスト〉という形でオファーを頂いたんです。普通、ゲストというと〈中盤あたりに出て行って、ROTH BART BARONの楽曲を2、3曲歌う感じかな……〉と思うじゃないですか(笑)。でも、打ち合わせをしていく中で〈お互いの楽曲を織り交ぜながら紡いでいこう〉というご提案をいただき非常に驚きました。〈ROTH BART BARONのお客さんに、いきなりSalyuの楽曲を届けて大丈夫かなあ〉と最初は及び腰だったのですが、Salyuの曲を三船さんが歌う場合もあると聴いて〈なるほど!〉って。これは面白くなりそうだなと思いました。今は楽しみで仕方ないですね」

──会場となるCOTTON CLUBに対して、お二人はどんな印象がありますか?

三船「実はCOTTON CLUBのステージに立つのは初めてで、リスナーとしても恥ずかしながら伺ったことがなくてまったくの初体験なんです。とにかく良質な音楽しか発信しない場所というイメージなので、まさか自分たちが出演する機会に恵まれるなんて本当に光栄ですね。その歴史に負けないくらいいい演奏をしたいなと思っています」

Salyu「私も観客として遊びに行ったことはあるのですが、ステージに立たせていただくのは初めてです。良質な音楽を聴きに、ちょっと気取って遊びに行きたい場所でもありますし、長い歴史を刻んできたその最先端でパフォーマンスさせてもらえることを大変光栄に感じています」

三船「着席スタイルで、食事をしながら演奏を楽しんでいただけるのも嬉しい。自分の空間をある程度キープできるから今の時代にも合っていますよね。プレッシャーを感じずゆったり鑑賞できる贅沢な空間が、心を豊かにしてくれる気がします」

Salyu「三船さんのおっしゃるように、客席同士の距離はしっかり取ってあるのですが、ステージと客席の距離はホールほど遠くなくて、心の距離も近いように思いますね。人に届けていることを実感しやすい場所というか。顔の見える距離で〈歌〉を届けられるのは、わたしにとっても貴重な体験です」

 

SalyuにとってロットはDIYの先輩?

──ところでSalyuさんは、昨年春に個人事務所〈新しいYES〉を設立して独立されましたね。

Salyu「はい、20年間お世話になった小林武史さんの事務所から独立して、小さな事務所を運営しながら音楽活動をしています。昔から両立ってあまり得意ではないので、〈助けてくれ〜〉と思う時ももちろんあります(笑)。でも、マネジメント業務を積極的に展開していくことも、自分にとってはクリエイティブにつながることでもありますし、そういった中でROTH BART BARONとめぐり合うこともできたわけですからね。とにかく新しいことの連続ですが、楽しみながら毎日を過ごしています」

──コロナで日々がのっぺりしてしまいがちな中、ある意味ではリスクも背負いながら新しいことに向かって進んでいくことは、ものすごく大事なことですよね。

Salyu「全くその通りだと思います。先が見えないだけに、挑戦ということに救われることもありますし」

三船「僕もそう思います。何か動いていた方が、その人の豊かさにつながると思っていて。〈あれができない〉〈これができない〉で身動きできなくなってしまうのではなく、じゃあ、その限られた制約の中で〈何ができるのか〉を探して少しでも動いていく、自分自身も含めてそういう発想ができるようになりたいし、そういう発想が育まれる環境になればいいなと思っています。この状態がまだもう少し続くのであれば、よりそのことを強く意識したいです。ともあれ、DIYには定評があるROTH BART BARONなので、Salyuさん何かあったらいつでもお声がけくださいね」

Salyu「そうだ、そういう意味ではROTH BART BARONは大先輩だった(笑)!」

 


LIVE INFORMATION
ROTH BART BARON
“HOWL SESSION” Live at COTTON CLUB
Special Guest Salyu

2021年10月10日(日)東京・丸の内 COTTON CLUB
1stショー
開場/開演:14:30/15:30
2ndショー
開場/開演:17:15/18:00

2021年10月11日(月)東京・丸の内 COTTON CLUB
開場/開演:17:00/18:00
※1回のみの公演

■料金
[会場でのご観覧/全席指定]
テーブル席:6,500円
ボックスシート・センター(2名席):9,000円
ボックスシート・サイド(2名席):8,000円
ボックスシート・ペア(2名席):8,500円
ペアシート(2名席):7,500円
※料金は1名様あたりの金額となります

[配信でのご観覧]
3,000円~
※10日の2ndショーのみ

■メンバー
ROTH BART BARON
三船雅也(ボーカル/ギター)

with Musicians
西池達也(ピアノ/シンセサイザー)
岡田拓郎(ギター)
マーティ・ホロベック(ベース)
工藤明(ドラムス)
梶谷裕子(バイオリン)
林田順平(チェロ)

Special Guest
Salyu(ボーカル)

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