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Charli XCX feat. Christine And The Queens & Caroline Polachek “New Shapes”

田中「3曲目はチャーリーXCXの新曲“New Shapes”。これは、クリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズとキャロライン・ポラチェックという2組とコラボレーションした曲ですね。プロデュースは、ディートン・クリス・アンソニー(Deaton Chris Anthony)とロータス・IV(Lotus IV)。メロディアスで、かなり良い曲ではないでしょうか?」

天野「きらびやかなシンセとエレクトロニックなドラムがサウンドの中心になっていて、かなり80年代っぽいネオンカラーなポップソングですね。僕としては、『how i’m feeling now』(2020年)に比べると、ちょっとポップすぎかな。コラボが軸なのも、前々作『Charli』(2019年)の頃に戻った感じ。この曲のリリースにあわせて、チャーリーはニューアルバム『CRASH』の発表をアナウンスしました。A. G.・クックやワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、リナ・サワヤマといった、錚々たる面々が参加しているのだとか。もちろん楽しみなのですが、先鋭的なサウンドと、チャーリー自身の内面を掘り下げた作品こそを、僕は聴きたいですね。でも、この“New Shapes”の3人の取り合わせは、さすがチャーリーだなと思いました」

田中「なるほどー。たしかにこの曲なんかは、3人全員が主役で、アセンブルな楽曲という趣が強いですよね。逆に言えば、それぞれに見せ場があるということもであります。〈あなたが望むもの/それが私が持っていないもの〉という関係性の不一致をテーマに、それぞれのアングルで歌っているリリックもおもしろい。あと、こうやって聴くと3人の声質がぜんぜんちがっていて、最後のコーラスでの掛け合いが圧巻です。『CRASH』は2022年の3月18日(金)のリリース予定。4か月も先ですが、楽しみに待ちましょう」

 

Lolo Zouaï “Scooter”


天野「注目のニューカマー、ロロ・ズーアイのニューシングル“Scooter”。ロロ・ズーアイことローリーン・レベハ・ズーアイ(Laureen Rebeha Zouaï)はフランス、パリ生まれのシンガーソングライターで、現在はNYのブルックリンを拠点に活動中。2019年にデビューアルバム『High Highs To Low Lows』をリリースし、〈SUMMER SONIC〉への出演も果たしたので、ご存知の方も多いかもしれません。浮遊感のある今様で実験的なR&Bサウンドが魅力的なのですが、ファッションアイコンとしても注目されています」

田中H.E.R.のセルフタイトルドアルバム(2017年)の収録曲“Still Down”の作曲に参加したことが、彼女が知られるようになったきっかけのひとつでしたね。さらに、来年開催されるデュア・リパの〈Future Nostalgia Tour〉のサポートに抜擢されたことが話題になりました。つまり、いまキている新人、というわけですね」

天野ブラッド・オレンジをフィーチャーした“Jade”(2019年)をリリースしたとき、〈PSN〉の候補に挙げたんですよね。その後も断続的にシングルを発表しつづけていたので、注目していました。そんなズーアイの新曲が、この“Scooter”です。単調なサブベースと割れ気味の音像、それにズーアイの抑制されたボーカリゼーションとラップメタルっぽいふわっとしたメロディーが中毒性抜群です。プロデューサーはズーアイ本人と彼女の相棒であるステリオズ(Stelios)、チャーリー・XCXとの仕事で知られるノーマック(Nömak)の3人。ノーマックのハイパーポップ的でインダストリアルなプロダクションが効いていますね」

田中「リリックについては、〈シェネル、ディオール、マルジェラ、そして私〉というラインが印象的ですね。セカンドアルバムのリリースが待たれているロロ・ズーアイ、2022年の要注目アーティストだと言えるでしょう!」