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アルバム1曲目から読み解く4作品

ということで、ここから先は、2013年作『萬燈籠』、2014年作『無頼豊饒』、2016年作『怪談 そして死とエロス』、2017年作『異次元からの咆哮』の4作品を、〈1・9・10の法則〉に則って串刺し形式で見ていきたい。

まずはパンチの効いた1曲目である〈1〉の部分から。

2013年作『萬燈籠』のオープニングは“此岸御詠歌”。そもそもリリースの数年前からアルバム未発表曲ながらもライブの登場音楽として使用されていた曲だった。それを、〈ライブ登場曲としてもう一度レコーディングし直したい〉というメンバーの希望から収録されたという。このアルバム『萬燈籠』のキーワードは〈再デビュー作〉ということで、〈一新させよう〉という気概がみなぎっているような楽曲である。和嶋によればこの曲は、〈かつての“鉄格子黙示録”(※デビュー前からライブの1曲目を飾り、デビュー作『人間失格』の1曲目に収録)的な曲かもしれない〉とのこと。“鉄格子黙示録”と最初の2音が全く一緒なのは偶然なのか必然なのか。

続く2014年作『無頼豊饒』の1曲目は“表徴の帝国”。のっけから変拍子のリフで始まるこの曲は展開も激しく、キング・クリムゾン風のリフやギターソロも頻出し、プログレッシブな展開が楽しめる楽曲だ。90年代後半からの流れを汲んでおり、古くからのファンにも多く受け入れられる曲だろう。

2016年作『怪談 そして死とエロス』の冒頭は“恐怖の大王”。歌詞カードが縦書きになり〈和〉のテイストが深化したかと思いきや、これまでの歌詞に多く見られた難解な用語が影を潜め、人間椅子の新たな境地を感じた。最初は〈悪の帝国〉というタイトルで、歌詞も全く違ったものだったらしいが〈自主規制〉でこのような歌詞に落ち着いたらしい。それと同時に、ブラック・サバス譲りではありつつも、人間椅子特有の持ち味だった〈唐突な曲展開〉が影を潜めたように感じられる。歌詞も楽曲もシンプルになり、明らかに2000年代の方向性からさらに舵切りをしようという思いを、この1曲目から感じることができる。後のインタビューを読むと、2015年に再び〈OZZFEST JAPAN〉に出演したことによって手応えを感じたバンドは、〈キャッチーさが必要〉となったようだ。1曲目からその思いが表出されたのである。

2017年作『異次元からの咆哮』のオープニングではその方向性がさらに顕著になる。“虚無の声”は、明るく、分かりやすい歌のメロディーでスタート。それに続いて、一度聴いたら忘れられないシンプルなギターのリフレインが奏でられ、それがテーマとなって楽曲を駆け抜ける。〈唐突な曲展開〉どころか〈曲展開〉自体が消え、人間椅子の楽曲はさらにシンプルに変貌したのである。